ワールドカップ(W杯)イヤーの2022年。サッカー日本代表は無事カタール大会への切符を手にし、6月前半はメンバー選考のテスト的な要素もある国際親善試合が行われている。
同アジア杯に出場のU-21日本代表メンバーは、2024年に開催されるパリ五輪を目指すいわゆる「パリ世代」の選手たちでもある。もちろん年齢的にはルーキーと呼ばれる世代だが、所属クラブではすでに主力として活躍する選手も少なくない。ここではアジア杯でメンバー入りを果たした選手たちを、ポジションごとに紹介していく。

ゴールキーパー(GK)3名
日本代表の歴史を見ても、これほど体格に恵まれたゴールキーパーの多い世代はなかっただろう。長く代表のゴールマウスを守り、フランスW杯(1998)とドイツW杯(2006)で正GKを務めたレジェンドGK川口能活も、身長は180cmと決して大柄ではない。
比べて選出された小久保玲央ブライアンと鈴木彩艶は、いずれも190cmを超える。小久保はすでにポルトガルリーグの名門ベンフィカに所属し海外でプレー。鈴木も所属先の浦和レッズで、元日本代表GK西川周作としのぎを削っている。佐々木雅士も所属先の柏レイソルでは、韓国代表GKキム・スンギュとポジション争いを繰り広げ実力をつけてきていることは確かだ。
GKと言うポジションの性質上、アジア杯では出番のない選手もいるだろうが、同世代と競え合えるこの機会に、さらに高いレベルを目指して欲しい。

ディフェンダー(DF)8名
- 内野貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)
- 木村誠二(モンテディオ山形)
- 加藤聖(V・ファーレン長崎)
- 馬場晴也(東京ヴェルディ)
- 半田陸(モンテディオ山形)
- 畑大雅(湘南ベルマーレ)
- 鈴木海音(栃木SC)
- チェイス・アンリ(VfBシュツットガルト/ドイツ)
DF陣の注目はやはり、この4月に高卒で海外挑戦を果たしたチェイス・アンリだ。その他の選手たちも若くして各クラブで出場機会を確保している選手ばかり。
特にアンリと同じくドイツでプレーする内野貴史をはじめ、J1湘南に所属し今2022シーズンは両サイドで出番を得ている畑大雅、J2でここまで好順位に着ける山形の原動力となっている半田陸、両サイドバックは注目度が高い。
センターバックはJ1所属選手こそいないものの、J2栃木の鈴木海音と東京Vの馬場晴也が所属クラブで定位置を確保できており、サイドと同様にポジション争いは高いレベルで熾烈なものとなるだろう。

ミッドフィルダー(MF)8名
- 松岡大起(清水エスパルス)
- 斉藤光毅(ロンメルSK/ベルギー)
- 山本理仁(東京ヴェルディ)
- 藤田譲留チマ(横浜F・マリノス)
- 三戸舜介(アルビレックス新潟)
- 松木玖生(FC東京)
- 佐藤恵允(明治大学)
- 山田楓喜(京都サンガ)
堂安律や三笘薫といった強烈な「個」の印象のある東京五輪世代と比較すると、パリ五輪を狙うこの世代はやや大人しい印象を受ける。しかし、決して劣っているわけではない。
対人強度とボール奪取能力に長けた松岡大起。繊細なボールタッチで出し手にも運び屋にもなれる藤田譲留チマ。抜け出しから決定機を演出できる斉藤光毅と、淡々と自身の仕事をできる選手が多いのが特徴と言える。また、唯一の大学生である佐藤恵允も、スピードを生かした突破や視野の広さから、ジョーカー的な役割でも期待の持てる選手だ。
一方で、東京五輪世代に負けない「個」を持っているのが、今2022シーズンよりFC東京へ加入した高卒ルーキーの松木玖生だ。同じく強い個性を持ち、メンバー入りしたもののコンディション不良から辞退を余儀なくされた小田裕太郎(ヴィッセル神戸)の打開力がなくなったことは痛手であるが、松木の持つ高校時代から変わらない物怖じしないスタイルは、必ずやチームに勢いをもたらすだろう。

フォワード(FW)4名
FW登録は4名となり、いずれも特徴的な選手ばかりだ。
J1で得点を量産しているスピードが武器の柏のエース細谷真大に、「和製ハーランド」の異名を持ち海外移籍の噂も出ている札幌の中島大嘉。チームは下位に低迷しているが独特のドリブルと高いボール保持能力を持つ清水の鈴木唯人。
これだけ明確に違った特徴を持つフォワードが集まることは、世代別でもフル代表でも珍しい。対戦相手や戦況に応じて大岩剛監督がどのような起用をするのかにも注目だ。