サッカー日本代表の優勝で幕を閉じた、EAFF E-1サッカー選手権2022(7月19日~27日開催)。国際Aマッチ期間に当たらない大会とあって、日本代表もJリーグで活躍する国内組からメンバーを選出し、従来とは違う顔ぶれでの参加となった。

特にMVPに輝いたFW相馬勇紀(名古屋グランパス)や、相馬と同じく3得点で得点王となったFW町野修斗(湘南ベルマーレ)らの活躍は目覚ましく、FIFAワールドカップ・カタール(カタールW杯)に向けてのメンバー選考に良い意味で刺激を与える結果となっている。

基本的に2年に1度開催されている東アジアNO.1を決めるE-1選手権。相馬や町野らと同様に、これまでも国内組として名を上げた選手は多い。ここでは、過去のE-1選手権で活躍したJリーガーから5名を紹介しよう。

久保竜彦(2015年引退)

出場:E-1サッカー選手権2003

現在の大会名称(旧大会名は東アジアサッカー選手権、EAFF東アジアカップ)となって初めての2003年E-1サッカー選手権に出場し、得点王となったFW久保竜彦(当時横浜F・マリノス)。「ドラゴン」の愛称で親しまれ、恵まれた体格を生かしたダイナミックなプレーが魅力のストライカーだ。

代表初招集は1998年だが、決して序列の高くなかった久保。しかし、ジーコ日本代表監督(2002-2006)もかつて出場した同E-1選手権で活躍すると、徐々にその評価を高め出場機会を増やしていった。欧州遠征の際には3試合で4得点を上げるなど、高い得点力は日本代表にとって不可欠であったことは間違いない。残念ながら故障の影響もあり、W杯本大会(2002、2006)への出場は叶わなかったが、Jリーガーの中でも一層注目される選手の1人となった。

歴代のE-1選手権で名を上げたJリーガーたち

山瀬功治(レノファ山口)

出場:E-1サッカー選手権2008

国際Aマッチの出場は13試合と、以外にも少ないMF山瀬功治。北海道コンサードーレ札幌、横浜F・マリノス、そして日本代表で岡田武史監督(2007-2010日本代表)に重宝された選手だ。山瀬が出場した2008年のE-1選手権は中国重慶市での開催となり、アウェーの異様な雰囲気の中で行われた。選手たちがひたすら耐える戦いをしていた印象を覚えているサッカーファンも多いだろう。

そんな中でも山瀬は、中国戦での決勝点と韓国戦での同点弾の2得点を挙げた。結果は2位となるも山瀬の評価は高く、以降海外組を含めた中でも代表常連となった。40歳を超えた今でも現役でプレーしており、今20222シーズンも得点したことで23年連続ゴールを記録している。間違いなくJリーグが誇るレジェンドの1人として、今後もファンを魅了してほしいものだ。

歴代のE-1選手権で名を上げたJリーガーたち

柿谷曜一朗(名古屋グランパス)

出場:E-1サッカー選手権2013

2013年のE-1選手権で3得点を挙げ得点王になり、日本の初優勝に貢献したFW柿谷曜一朗。日本代表史の中でも屈指の人気を誇るアルベルト・ザッケローニ監督(2010-2014)のもと初招集された。第1戦の中国戦で初出場を果たすと、いきなりの得点を記録。優勝が決まる第3戦の韓国戦では、後半アディショナルタイムの決勝点を含む2得点を決め、強烈なインパクトを残した。

柔らかいボールタッチや広い視野は今なお健在の柿谷。海外移籍(2014-2015バーゼル/スイス)後はスコアラーという印象は薄れてしまったものの、魅せるプレーは変わらない。代表でプレーする機会は2014年を最後に見られないが、Jリーグを盛り上げてくれる選手の1人として今後の活躍も期待したい。

歴代のE-1選手権で名を上げたJリーガーたち

山口蛍ヴィッセル神戸

出場:E-1サッカー選手権2013

2012年のロンドン五輪でベスト4進出の立役者となったMF山口蛍も、E-1選手権で名を上げた選手だ。高いスタミナを武器に広範囲をカバーし、ボール奪取能力にも優れたダイナモ (豊富な運動量で攻守で貢献する選手)の1人でもある。E-1選手権では初招集ながらも3試合すべてに出場し、大会MVPにも選ばれた。

同E-1選手権をきっかけに、そのまま2014年ブラジルW杯メンバーにも選出され、短期間ではあるが海外移籍(2016ハノーファー/ドイツ)も果たした山口。その後も現在の森保一監督(2018-)に至るまで、代表を率いる指揮官に選出されている。E-1選手権での活躍が山口に与えた影響は、今となっても大きなものだったと言えるのではないだろうか。

歴代のE-1選手権で名を上げたJリーガーたち

小川航基(横浜FC

出場:E-1サッカー選手権2019

東京五輪を見据え、U-23候補からも多くのメンバーが選ばれた2019年のE-1選手権。FW小川航基も最前線を担う候補として選出されていた。出場は香港戦の1試合にとどまったが、試合ではハットトリックを達成し勝利に貢献した。もともと同世代の中では高い得点能力を誇り、U-18~U-20の間は35試合32得点、U-21では5試合3得点と驚異的な数字を残している。

残念ながら東京五輪では、上田綺世(サークル・ブルッヘ)や林大地(シント・トロイデン)の台頭もあり選外となった小川。しかし、今2022シーズンは心機一転。活躍の場を慣れ親しんだジュビロ磐田から横浜FCへと移すと、ここまで18得点を上げJ2の得点ランキング1位。新型コロナウイルスの影響や外国籍選手とのポジション争いで不遇なシーズンを送っていたが、再びE-1選手権でも見せた得点力を発揮しつつある。自身を次のステージへ押し上げる今後の活躍に大いに期待したい。

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