2022シーズンの明治安田生命J1リーグは、11月5日に行われた第34節をもって全日程を終了した。優勝を果たしたのは横浜F・マリノス

一方、J2リーグへ自動降格となったのは清水エスパルスジュビロ磐田という、静岡勢の2チームとなった。11月13日にJ1参入プレーオフを1試合残しており、J1で16位の京都サンガとJ2で4位のロアッソ熊本が、来2023シーズンに向けたJ1の最後の1枠を争う。

ここでは、J1リーグの2022シーズン全日程での通信簿をまとめてみよう。各クラブの最終順位に沿って、開幕前からの期待や予算、昨2021シーズンの戦績などをふまえて「大変よくできました」「よくできました」「まずまずです」「今後に期待です」の4段階評価を加えている。

J1リーグ全18クラブの通信簿【2022シーズン総決算】1~6位

1位:横浜F・マリノス

  • 34試合20勝8分6敗
  • 勝ち点68
  • 評価「大変よくできました」

3年ぶりのリーグタイトルを獲得した横浜・Fマリノス。2位川崎フロンターレとの優勝争いは最終節までもつれ、勝ち点差はわずか2。それでもリーグ最多得点、最少失点、さらにパス、クロスもリーグトップと、数字を見ると頭一つ抜けていたといえる。

攻撃面ではFWレオ・セアラとFWアンデルソン・ロペスが11得点、FWエウベルが8得点。エウベルは5アシスト、ロペスは4アシストと外国籍選手の質の高さが光り、日本人選手も今季から加わったFW西村拓真が10得点、FW仲川輝人とMF水沼宏太は7得点と、どこからでも点が取れるチームとなっていた。

守備面でもリーグMVPを受賞したDF岩田智輝がセンターバック(CB)とセンターハーフ(CH)のどちらとしても安定感抜群。CBではエドゥアルドらが、CHではキャプテンの喜田拓也らが蓋をし続け、シュートまで運ばれても、GK高丘陽平が立ちはだかった。センターラインの質が高いことで不用意なミスが起こりにくく、今季から加入したDF永戸勝也や、小池龍太らサイドバック(SB)も積極的なプレーを見せている。

結果が出ながらもメンバーを固定せず、ケヴィン・マスカット監督がさまざまな選手起用をしたことで、この強さは来季以降にもつながる可能性が高いだろう。

強化部、スタッフ、選手、すべてが素晴らしい働きをしたことで掴んだ、リーグタイトルだった。

J1リーグ全18クラブの通信簿【2022シーズン総決算】1~6位

2位:川崎フロンターレ

  • 34試合20勝6分8敗
  • 勝ち点66
  • 評価「よくできました」

リーグ2連覇中だった王者川崎フロンターレ。ラスト4試合を全勝と横浜F・マリノスにあと一歩まで迫ったが、惜しくも3連覇には届かなかった。2021シーズン夏まで主力を担ったMF三笘薫、MF田中碧といった日本代表選手が流出し、今季に向けた新戦力が代わりとなるほどの活躍をみせられなかったことが影響しているのは間違いないだろう。

MF橘田健人やMF脇坂泰斗らの成長、ともに12得点を挙げたMF家長昭博やFWマルシーニョの活躍、セットプレーからの得点数がリーグトップなどポジティブな要素も多かったが、チャンピオンの座を取り戻すためには、わずかに足りなかった部分を、まもなく始まる移籍市場で埋めたいところだ。

J1リーグ全18クラブの通信簿【2022シーズン総決算】1~6位

3位:サンフレッチェ広島

  • 34試合15勝10分9敗
  • 勝ち点55
  • 評価「大変よくできました」

リーグ順位では3位となったサンフレッチェ広島。タイトルには届かなかったが、充実したシーズンだったといえるだろう。今季から指揮を執るミヒャエル・スキッベ監督は攻守の切り替えの速さと積極的なプレスを浸透させ、大卒1年目のFW満田誠、MF野津田岳人、MF森島司らの成長を促すことに成功した。

決して資金力に恵まれたクラブではないが、2015シーズン以来となるリーグタイトルへの期待を感じさせる内容だった。伝統的に優れた新卒選手を獲得することに長けており、あとは守備のタスクをこなしながら二桁得点を狙えるストライカーを加えられれば、戴冠はいよいよ現実的なものになる。

J1リーグ全18クラブの通信簿【2022シーズン総決算】1~6位

4位:鹿島アントラーズ

  • 34試合13勝13分8敗
  • 勝ち点52
  • 評価「まずまずです」

順位こそ4位だったが、後手後手を踏んだ印象が強かった鹿島アントラーズ。Jリーグ屈指の強豪としては満足いくシーズンではなかったのではないだろうか。今シーズンに向けてはクラブ初の欧州出身監督となるレネ・ヴァイラー監督を招き、FW上田綺世とFW鈴木優磨というリーグ屈指の2トップを武器に、第11節までは首位をキープした。

だが徐々に失速すると、エース上田が6月にサークル・ブルージュKSV(ベルギー)へ移籍したことで得点が減少。第24節終了後に4位へと順位を下げたタイミングで、クラブは監督交代を選択した。

ヴァイラー監督の教え子であるFWエレケが合流する前だったこともあり、クラブの判断には違和感が否めず。

後任は岩政大樹監督が務め守備の改善は感じさせたが、順位を上げることはできず。自身を呼んだはずの指揮官を失ったエレケは1得点のみ。定位置を失ったMF荒木遼太郎の復調もならず、MF三竿健斗のユーティリティさとMF樋口雄太のパフォーマンス、そして鈴木の頑張りに助けられた感も。鹿島らしい強さを取り戻すには、まずクラブとしてのブレない姿勢、そして監督が志向するサッカーに適した補強が欠かせない。

J1リーグ全18クラブの通信簿【2022シーズン総決算】1~6位

5位:セレッソ大阪

  • 34試合13勝12分9敗
  • 勝ち点51
  • 評価「よくできました」

MF坂元達裕がオーステンデ(ベルギー1部)へ、DF瀬古歩夢がグラスホッパー・クラブ・チューリッヒ(スイス1部)へ移籍し、代わりに計算の立つ選手を複数獲得してシーズンに挑んだセレッソ大阪。大きな誤算は、元日本代表MF乾貴士の退団だろう。自ら希望しセレッソの特別な番号である「背番号8」を背負った乾は、開幕から好調をキープしたのの第7節の柏レイソル戦で「チーム規律・秩序を乱す行動」を取り、その後退団に至った。

チームはその後、第18節からの7試合負けなし(4勝3分)など安定した成績を残した時期もあったが、攻撃における決め手を欠いたことは否めない。チームトップがFW加藤陸次樹の6得点では、これ以上の順位を目指すのは難しいだろう。他チームへ期限付き移籍中の選手達が活躍を見せるなど、明るい材料もある。SHの補強、外国籍選手を3人抱えるFWの整理、そして二桁得点を狙える新戦力の獲得が叶えばさらに上を狙えそうだが。

J1リーグ全18クラブの通信簿【2022シーズン総決算】1~6位

6位:FC東京

  • 34試合14勝7分13敗
  • 勝ち点49
  • 評価「まずまずです」

即戦力候補を数多く獲得し、今シーズンに挑んだFC東京。

プロ1年目のMF松木玖生がすぐさま主力に定着し、GKヤクブ・スウォビィクが正守護神に君臨するなど一定の成果は残した。しかし、DFエンリケ・トレヴィザンは第10節・ガンバ大阪戦で左肩関節脱臼の怪我を負うとそのまま復帰ならず、エース候補のFW山下敬大は0得点、FWルイス・フェリッピは2得点に留まった。

その分FWアダイウトンがJ1での自身最多となる12得点、MF渡邊凌磨がチーム2位の6得点を挙げるなど気を吐いたが、全体として個の力に依存する傾向を払拭できず。その影響か好不調の波に左右され、第27節柏レイソルでは6-3、第25節セレッソ大阪戦では4-0と大勝した一方で、第11節アビスパ福岡では1-5、第18節サガン鳥栖戦では0-5で大敗するなど、試合ごとの不安定さは最後まで付きまとった。

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