明治安田生命J3リーグで、2022シーズン序盤戦でつまずき、後半戦盛り返したものの12位に終わったガイナーレ鳥取。今2023シーズンに向けてはチーム得点王だったFW石川大地がロアッソ熊本へ、ボランチとして31試合に出場したMF新井泰貴が藤枝MYFCへ移籍するなど、主力数人がチームを離れた。
一方で、ブラウブリッツ秋田からMF普光院誠を、カマタマーレ讃岐からFW重松健太郎を獲得するなど、経験豊富な選手が多く加入。そんな鳥取は、チームを率いて3年目となる金鍾成(キン・ジョンソン)監督のもと、J2復帰を目指している。
ここではガイナーレ鳥取の2選手の独占インタビューを紹介しよう。1人目は、MF世瀬啓人。鳥取出身でガイナーレ鳥取U-18から昇格し、昨シーズンから背番号10を背負う23歳だ(取材は開幕戦前に実施)。

積極的にゴールに関わりたい
ー2023シーズンに向けて選手の入れ替わりが多く(13人退団、11人加入)、経験豊富な選手が加入された印象です。チームへの手応えはいかがでしょうか。
世瀬:年齢が上の選手が(新たに)入ったことで、試合中のコミュニケーションだったり、(ピッチの)外でのコミュニケーションだったりが増えたなという印象があります。チームは良い方向に進んでいくんじゃないかなと思っています。また、(パスを)繋げるところが多くなった印象はありますね。
ー世瀬選手といえばキックの精度の高さと、攻守を繋ぐ選手というイメージです。自信を持つプレー、課題と感じるプレーを教えてください。
世瀬:自信を持っているのは、長短のパス。
ー昨シーズンは31試合出場で0得点3アシストと、得点が取れませんでした。得点を増やすには例えば前線に絡んでいくのか、ミドルシュートを積極的に打つのか、どのようなイメージを持っていますか?
世瀬:昨シーズンは前に絡んでいくことが少なかったと思います。今年は前に絡んでいきながら、かつミドルシュートも狙っていきたいなと思っているので、両方を意識しながらプレーしたいですね。(ミドルシュートは)意識して練習したりもしているので、今年は積極的に出していきたいなと思っています。
ー昨シーズンのチームは得点数と失点数がほぼ同数(55得点・56失点)。金監督は攻撃に関する発言が多いですが、攻守のバランスはどのように考えていますか?
世瀬:攻撃については、自分の中で結構意識してやっています。守備では経験豊富な、田中恵太選手のような選手が自分の後ろにいることが多いので、そこの声かけがあって助かっているなという感じがあります。

今一番叶えたいのはJ2復帰
ー今2023シーズンは副キャプテンという立場ですが、チーム内で意識していること、行動していることはありますか?
世瀬:キャプテンの石井光輝選手とともに、チーム全体に問題が起きたら解決しています。あとは結構歳が上の選手が増えた一方で、若手の選手も結構います。そこ(若手)にとって話をしやすいのは(年齢が近い)自分かなとは思う。そこの繋ぎ役のようなことを、自分がやっていくべきかなと思っています。
ー生まれ育った地のクラブで達成したい目標を教えてください。
世瀬:今一番叶えたいのはJ2復帰です。(具体的な数字の目標は)多分昇格できるのが勝ち点60ちょっとぐらいで、勝ち点70にいけたら間違いなく昇格できると思います。そこを目指したいなと、個人的には思っています。
ーコーナーキックやフリーキックで、味方の選手に合わせる場面での質問です。味方の動きや相手の動き、GKの動きなどいろいろありますが、特にどの部分を意識して蹴っていますか?
世瀬:相手(の守備の仕方)がマンツーマンなのか、ゾーンなのかによりますね。例えば、ゾーンだった場合はどこが空いているかだったり、味方のヘディングが強い選手が入るような場所だったりに蹴ることを意識しています。(蹴る場所は)ここら辺にという感じです。
ー昨年1月、右第五中足骨骨折を負われました。復帰するまでの期間というのはどのようなことを考えて、どのようなトレーニングをしていたのでしょうか。
世瀬:怪我してずっと、自分が試合に出てサッカーをしているイメージはするようにしていました。あとは、身体をちょっと大きくするということをしましたね。

チームメイトとはゴルフも
ーサッカーから離れますが、趣味や好きなことを教えてください。
世瀬:最近であれば、チームメイトとゴルフに行っています。チーム内にも(ゴルフ好きが)結構いますね。普光院誠選手が上手で、打ちっ放しも含めてよく一緒に行くのは石井選手や田村亮介選手です。(ベストスコアは)120ぐらいです。まだまだ下手くそなので、(上手に)当たらなくて。あとは地元が近くなので高校の友達とかもいるんですけれど、そういう友達とはボウリングに行ったりビリヤードに行ったり、身体を動かしながら遊ぶことが多いです。
ー鳥取県のおすすめスポット、おすすめの食べ物やお店を教えてください。
世瀬:自分は倉吉市の出身なんですけれど、そこ(のおすすめスポット)で言ったら『白壁土蔵群』という古い町並みがあるようなところや、『なしっこ館』というなしの博物館みたいなところですね。倉吉では牛骨ラーメンも有名です。おすすめは『いのよし』というラーメン屋さんですね。鳥取県全体では、三朝(みささ)温泉がおすすめです。大きいお風呂や温泉は足を伸ばして、身体も伸ばしてリラックスできますよね。
ーAxisバードスタジアム、オールガイナーレYAJINスタジアムともにサッカー専用スタジアムですが、ピッチでプレーする選手として、専用スタジアムと陸上競技場に違いは感じますか?
世瀬:(専用スタジアムは)サポーターの皆さんとか、観に来てくれた人たちとの距離感がすごく近いので。やっぱり、雰囲気は良い意味で全然違いますね。

皆さんと戦っているという気持ち
ー鳥取は雪が積もることが多く、サポーターの方が練習場の雪かきをすることもありました。
世瀬:そうですね。サポーターの皆さんが雪かきをしてくれなかったら、練習もできていません。そういう(練習の)積み重ねはシーズンの中に絶対(差として)出てくると思うので、皆さんと戦っているという気持ちになりますね。
ー鳥取県出身で鳥取U-18出身、そして背番号10を背負い、クラブに特別な思いがあるかなと思います。サポーターの方に、メッセージをお願いします。
世瀬:鳥取県出身の自分や、坂本敬選手とかユース上がりの西尾響選手、糸原紘史郎選手もそうなんですけれど、(自分たちが)このチームを引っ張って鳥取県を盛り上げられたら良いなと思うので、頑張っていきます。
ー最後に、世瀬選手ご自身の、将来的なプレーヤーとしての目標を教えてください。
世瀬:個人的なステップアップも目標ですし、よりレベルが高いところでプレーしたいという考えはあります。上を常に目指しながら、限界を決めずにやっていきたいなと思っています。
ガイナーレ鳥取は、3月4日に行われたSC相模原とのJ3開幕戦で3-2の勝利。世瀬はスタメン出場で積極的に攻撃に関与し、88分には正確なロングパスで決定機を演出した。今2023シーズンの個人目標として5得点5アシストを掲げている背番号10の世瀬が、その目標を達成し出身地のクラブをJ2復帰に導く。