2023明治安田生命J1リーグの第11節は、5月3日に8試合が行われ、浦和レッズのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝スケジュールの都合上、遅れて31日に1試合(浦和対サンフレッチェ広島)が行われた。試合の最終盤で勝敗が決まった白熱の大阪ダービーや、ようやく今季初勝利を挙げた横浜FCなど、各会場で見どころ満載の試合が展開された。
ここでは、そんなJ1第11節で活躍した選手たちを、ベストイレブン形式で紹介していく。

GK:スベンド・ブローダーセン(横浜FC)
第10節まで得点も少ないが、何よりリーグワーストとなる失点数となっていた横浜FC。しかし、そんな中で迎えた第11節では、見事クリーンシートで今季初勝利を挙げた(対アルビレックス新潟1-0)。相手のGK阿部航斗も、1失点した以外はスーパーセーブを連発していたが、最後の最後でチームを救ったのは横浜FCのGKスベント・ブローダーセンだった。最終盤、あとは終了の笛を待つばかりの場面。完全にDFラインの裏を取られ絶体絶命のピンチだったが、冷静に距離を詰め片手指先のセービングで勝利に大きく貢献した。

DF:藤井陽也(名古屋グランパス)
首位のヴィッセル神戸をホームに迎え、上位勢同士の直接対決に臨んだ名古屋グランパス。結果は2-2の引き分けに終わったが、終了間際に劇的な同点弾を挙げたDF藤井陽也の活躍を忘れてはならない。1点ビハインドで迎えた後半アディショナルタイム。ラストワンプレーという時間帯にもかかわらず、冷静なシュートフェイントからミドルシュートを突き刺しチームに勝ち点1をもたらした。

DF:関川郁万(鹿島アントラーズ)
屈辱の大敗を喫した第8節のヴィッセル神戸戦(4月15日)以降、無失点の2連勝と息を吹き返した鹿島アントラーズ。3連勝を目指した第11節でも北海道コンサドーレ札幌を相手に1-0とクリーンシートを達成し、チームをさらに勢いづけることに成功している。特に、DF関川郁万は前節から引き続き頼もしい働きを見せた。J1でも屈指の攻撃力を誇る札幌を相手に、エリア内での冷静なカバーリングや鬼気迫るシュートブロックを見せゴールを死守し続けた。

DF:酒井宏樹(浦和レッズ)
ACL決勝スケジュールの都合上、未消化となっていたサンフレッチェ広島との上位対決に臨んだ第11節の浦和レッズ。先制される難しい展開の中逆転に大きく貢献したのが、キャプテンを務めるDF酒井宏樹だ。

MF:奥埜博亮(セレッソ大阪)
白熱の一戦となった大阪ダービー。最後は試合ラストのゴールによってセレッソ大阪に軍配が上がり劇的な結末を迎えた(対ガンバ大阪2-1)。手に汗握る試合展開の中、攻守両面で活躍が目立ったのがMF奥埜博亮だ。試合開始早々の時間から前線で攻撃に絡み強烈なミドルを放つと、1点目のシーンでは素早い展開で貴重な先制点の起点となる活躍を見せた。失点シーンではFW宇佐美貴史にかわされてしまったが、攻守に渡って奥埜の貢献度が高かったことに疑いの余地はないと言えよう。

MF:ユーリ・ララ(横浜FC)
第10節までは勝ちが1つもない唯一のJ1クラブとなっていた横浜FCだったが、第11節で待望の勝利を掴んだ(対アルビレックス新潟1-0)。いずれの選手にも明確に戦う姿勢が見られたこの試合、1番のヒーローは何といっても唯一の得点を挙げたMFユーリ・ララだろう。中盤の底で囲まれながらもビルドアップに尽力し、攻撃でも積極的に前に出てくるなど攻守に走り回った結果、技ありのヘディングでゴールと勝利をもたらした。

MF:脇坂泰斗(川崎フロンターレ)
負傷者続出で苦しい序盤戦の川崎フロンターレだが、第10節に引き続き第11節も勝利し今季初の連勝を果たした。試合を決めたは「持っている男」FW小林悠が放った試合終了間際のゴールだったが、終始チームの心臓としてチャンスを創出していた功労者はMF脇坂泰斗だったと言えよう。オフサイドで取り消しになった場面でも中央から自身で形を作り、別の場面では試合の終盤にも関わらずサイドまで顔を出してチャンスメイクするなど、高い貢献度を示した。

MF:紺野和也(アビスパ福岡)
3試合勝利が無かったアビスパ福岡。第10節では川崎に敗れたものの、第11節ではFC東京を相手に1-0で勝利し、第11節終了時点でのホーム成績を5勝1敗とした。改めてホームでの強さを見せつけたチームの中で、会場を湧かせていたのがMF紺野和也だ。右サイドでの突破力や細かいつなぎに加わりチャンスメイクする姿はいつも通り健在。さらにこの日はポスト直撃のフリーキックを放つなど、得点には結びつかなかったが、チームの中で攻撃の一角を担う選手として十分な存在感を見せた。

MF:マテウス・サヴィオ(柏レイソル)
開幕から第10節までわずか1勝と苦しむ柏レイソルだったが、第11節を勝利で終え今季2勝目を挙げた(対湘南ベルマーレ2-1)。湘南の攻撃に対して受ける場面も多かった中、相手DFラインとの駆け引きを制して先制点を挙げたMFマテウス・サヴィオの活躍は大きかったと言えよう。90分を通して動き回る運動量も見せ、最終盤のカウンター場面でもスプリントする姿勢を披露。得点力不足にあえぐチームにとって、今後はこれまで以上のキーマンになることは間違いない。

FW:ヤン・マテウス(横浜F・マリノス)
早々に先制され、難しい試合を余儀なくされた第11節の王者横浜F・マリノス。しかし、前線に配置されたブラジル人トリオの関係性からあっさりと同点にすると、前半のうちに逆転に成功し一気にペースをつかんだ(対サガン鳥栖3-1)。あっという間の逆転をもたらす2ゴールを挙げたのが、今第11節スタメン出場を果たしたFWヤン・マテウスだ。ここまでは途中出場が多かったが、タレント豊富なチームの中で、今節の活躍ぶりは無視できないものであり、チームを率いるケヴィン・マスカット監督に嬉しくも難しい悩みを与えたと言えよう。

FW:鈴木優磨(鹿島アントラーズ)
リーグ戦では第9節以降2連勝と息を吹き返していた第11節の鹿島アントラーズ。3連勝がかかる重要な試合を決めたのは、やはり3試合連続ゴールをマークし個人としても波に乗りつつあったFW鈴木優磨だった(対北海道コンサドーレ札幌1-0)。