11月12日に第42節を終え、2023シーズンの全日程が終了した明治安田生命J2リーグ。1位の町田ゼルビアと2位ジュビロ磐田がJ1へと自動昇格した。
ここでは、J1昇格プレーオフ決勝に挑む両クラブの現状とそれぞれの攻守キーマン、今季戦績を振り返る。

東京ヴェルディ(J2最終順位:3位)
16年ぶりのJ1なるか
ジェフユナイテッド市原・千葉との昇格プレーオフ準決勝を2-1で制し、決勝進出を決めた東京ヴェルディ。決して圧倒的な試合展開ではなかったものの、限られたチャンスを得点に繋げ前半で2点リード。後半はGKマテウスのビッグセーブや選手全員の身体を張った守備で、最少失点に抑え切った。
J1昇格が懸かる決勝戦で守備のキーマンとなるのは、やはりマテウスだろう。今季リーグ戦全試合フルタイム出場を達成した絶対的守護神は、190cmの体格と抜群の反応速度でゴールマウスにがっちりと鍵をかける。準決勝でも前半18分に訪れた相手FW呉屋大翔との1対1を間合いを詰めて防ぎ、流れを渡さなかった。
一方、攻撃のキーマンはMF中原輝ではなかろうか。夏の移籍市場でセレッソ大阪から期限付きで加入したレフティーは、右サイドに陣取り加入後16試合に出場し5得点を記録。自動昇格こそ逃したものの、チームを3位でのプレーオフ進出に導いたといってもいいだろう。
チームは9月2日の第33節ツエーゲン金沢戦からJ1昇格プレーオフ準決勝まで公式戦11戦無敗と勢いに乗っており、選手たちからは自信が感じられる。国立競技場で開催される決勝は、東京Vにとってホーム同然。引き分け以上で16年ぶりのJ1復帰となることから、城福浩監督の雄叫びと渾身のガッツポーズが見られた時、スタジアム全体に歓喜が響き渡ることだろう。

清水エスパルス(J2最終順位:4位)
最終節の悔しさを晴らせるか
モンテディオ山形とのJ1昇格プレーオフ準決勝を0-0で引き分けた清水エスパルス。同点の場合、リーグ戦での上位クラブが決勝に進むレギュレーションのため、清水が決勝へと駒を進めた。
そもそもJ2最終節が始まる前の時点ではリーグ2位で自動昇格圏内におり、勝利すれば自力でJ1行きを決められる状況だった。ところがプレッシャーからか攻守に精彩を欠き、水戸ホーリーホックに1-1で引き分け。自動昇格を逃し4位まで転落してしまった。少なからずショックはあったようだが、何とか立て直し決勝の舞台へ挑む清水。1年でのJ1復帰を達成するためにも負けられない戦いだ。
守備のキーマンにはDF山原怜音を挙げたい。
攻撃のキーマンにはFWカルリーニョス・ジュニオをピックアップ。山形との準決勝ではベンチスタートながら、後半12分で途中出場すると23分にはドリブルで持ち運び強烈なミドルシュートを放った。これはポストに防がれたものの、この試合最大ともいえる決定機を生み出した。リーグ戦では左サイドハーフの位置からチーム得点王となる15得点を決めており、決勝での起用法にも注目が集まる。
カルリーニョスやトップ下のMF乾貴士などJ2では止めるのが難しい選手が複数おり、拮抗した展開や劣勢ながらもスコアで上回る可能性は十分にある。自動昇格を逃した悔しさをぶつけ「戻るべき場所」へ戻ることができるだろうか。

拮抗する決勝戦の行方
両チームの今季対戦を振り返ると、IAIスタジアム日本平で開催された第8節は2-1、味の素スタジアムで開催された第29節も1-0で清水が2勝している。第8節では東京Vが早々に先制したものの、その後は清水が主導権を握り後半45分に逆転。第29節も東京Vが積極的にスタートを切ったものの、徐々に清水のペースへと移行していった。
清水は山形とのプレーオフ準決勝でも、途中出場したカルリーニョスやFW北川航也らが次々と好機に絡んだ。
チームの総合力で戦い引き分けでもJ1昇格となる東京Vか、今季2戦2勝と相性が良く圧倒的な個を有する清水に軍配が上がるのか。互いにタイプが異なるチームのため、それぞれの良さが発揮される好ゲームとなりそうだ。結果の予想は難しいものの、ヒリヒリ感溢れるサッカーの魅力が詰まった90分間となることは間違いないだろう。