2月23日に開幕を迎える2024シーズンのJ2リーグ。冬恒例の移籍の話題も徐々に少なくなり、新シーズンを戦かう各クラブの陣容も明確になってきた。

特に今冬は、2023シーズンの上位クラブを中心に選手の動きが活発になっており、J1昇格にかける意気込みが見える。

ここでは、補強に積極的な動きを見せたJ2クラブのうち、特に2024シーズンに向けて戦力アップに成功したとみられる3クラブをランキング形式で紹介していく。

【J2リーグ2024】補強により戦力アップに成功したクラブトップ3

3位:ジェフユナイテッド市原・千葉

主なIN選手

主なOUT選手

2023シーズンは、終盤の7連勝で昇格争いを大いに盛り上げたジェフユナイテッド市原・千葉。結果は6季ぶりにプレーオフ進出を果たすも、東京ヴェルディに敗れ15年ぶりとなるJ1復帰は叶わなかった。しかし昇格に向け光明を見出したシーズンだったと言えよう。

今冬は、背番号「10」でチームの中核として活躍していたMF見木友哉が東京ヴェルディへ移籍。そのほか主力選手では、DF新井一耀やGK新井章太がチームを離れた。

特に見木の流出は、昨年強烈なミドルシュートや丁寧なラストパスなどで攻撃面での貢献も多く見られただけに、大きな痛手と言わざるを得ない。

しかし、そんな重要な戦力を失いながらも補強によってプラスに振れている千葉。まず、見木に代わり前線との関わりが楽しみなのが、藤枝MYFCから加入したMF横山暁之だ。昨夏に主力選手の流出もあった中で藤枝の中盤を支え6ゴール8アシストと結果も残しただけに、チームの核としての働きが期待できる。

また、J1復帰を果たしたジュビロ磐田から加入のMFエドゥアルドも楽しみな選手。見木やチームに残ったMF田口泰士と同様の強烈なミドルシュートもあり、相手にとって脅威となる存在だ。

守備陣では、U-23代表候補のGK藤田和輝と、昨年はJ3へ降格となった大宮アルディージャで活躍したDF岡庭愁人を獲得。こちらも主力の流出を確実に補えると言える。

さらに、前線にはツエーゲン金沢からFW林誠道を獲得。ゴールだけでなく、前線からの守備など献身的な働きも期待できる選手が加わった。中心選手の流出も補強で確実に穴埋めを図りつつ、個々に特徴を持った選手を複数獲得した千葉。2024シーズンこそ悲願のJ1復帰を果たすべく、陣容を整えたと言えることから、戦力アップに成功したクラブ3位とした。

【J2リーグ2024】補強により戦力アップに成功したクラブトップ3

2位:ファジアーノ岡山

主なIN選手

  • MFガブリエル・シャビエル:加入(シャペコエンセ昨年9月退団)
  • MF岩渕弘人:いわきFCより完全移籍
  • MF竹内涼:清水エスパルスより完全移籍
  • MF藤田息吹:モンテディオ山形より完全移籍
  • FW齋藤恵太:ブラウブリッツ秋田より完全移籍
  • DF田上大地:アルビレックス新潟より完全移籍
  • GKスベンド・ブローダーセン:横浜FCより完全移籍
  • DF阿部海大:ブラウブリッツ秋田への期限付き移籍より復帰

主なOUT選手

  • DFヨルディ・バイス:契約満了
  • FWチアゴ・アウベス:シャペコエンセ(ブラジル)へ完全移籍
  • MFステファン・ムーク:アデレード・ユナイテッド(オーストラリア)へ完全移籍
  • FW櫻川ソロモン:横浜FCへ完全移籍※2023シーズンはジェフユナイテッド市原・千葉から期限付きで所属

2022シーズンはクラブ史上最高の3位となっていたファジアーノ岡山。しかし、昨シーズンは10位とプレーオフ圏にも入れず悔しい結果となった。それだけに2024シーズンに向けては補強で積極的な姿勢を見せてきた。

まず、中盤では名古屋グランパスや北海道コンサドーレ札幌で活躍したMFガブリエル・シャビエルを獲得。2017シーズン名古屋時代以来となるJ2でどんなプレーを見せるのか今から楽しみだ。同じく中盤では、昨シーズンいわきFCでチームトップタイのゴール数をマークしたMF岩渕弘人も獲得。奪った7ゴールのうち6ゴールが途中出場からであり、限られた時間でも結果を期待できる新戦力だ。

また、MF藤田息吹やMF竹内涼といったベテランが加入したことで安定感も増すだろう。2023シーズン、チームトップタイの6ゴールをマークしたMFステファン・ムークの流出は痛手だが、質はもちろん選手層で見ても十分な強化を果たせたと言えよう。

守備陣の補強にも成功している。2シーズン最終ラインを支えたDFヨルディ・バイスの移籍はあったものの、センターバックには昨年期限付き移籍先であったブラウブリッツ秋田の堅守を支えたDF阿部海大が帰還。GKズベント・ブローダーセンやDF田上大地といった実力者も加え、より強固な守備が期待できる陣容となった。

もちろん、前線もFWチアゴ・アウベスとFW櫻川ソロモンの流出をそのままにすることなく、昨シーズンの秋田におけるチームトップスコアラーFW齋藤恵太を迎えており、抜かりはない。

複数の主力外国籍選手の流出はあったが、各ポジションに実力者を迎え入れ経験豊富なベテラン選手も加わったことから、戦力アップに成功したクラブ2位とした。

【J2リーグ2024】補強により戦力アップに成功したクラブトップ3

1位:モンテディオ山形

主なIN選手

主なOUT選手

  • FWデラトーレ:ミラソウ(ブラジル)へ完全移籍
  • MFチアゴ・アウベス:ボタフォゴ(ブラジル)へ完全移籍
  • MF藤田息吹:ファジアーノ岡山へ完全移籍
  • DF小野雅史:名古屋グランパスへ完全移籍
  • DF野田裕喜:柏レイソルへ完全移籍

2023シーズンは最終節でプレーオフ進出を決め、2年連続でJ1復帰へ迫ったモンテディオ山形。2022シーズンの6位に続いて昨年は5位と、年々昇格が近づいている。2024シーズンこそJ1へとの思いが強いのは間違いない山形は、この冬J2において移籍市場を大いに賑わせた。

まず流出してしまったのは、得点源だったMFチアゴ・アウベスとFWデラトーレ。中盤を支えたベテランのMF藤田息吹も移籍。

さらに、守備陣の中心選手であったDF野田裕喜と、昨年新加入ながら不動の左サイドバックとして躍動したDF小野雅史がそろって個人昇格を果たした。特に最終ラインは、直近4シーズン山形のゴール前に君臨しセットプレーでは得点源にもなっていた野田を失ったことで、どれだけ再構築が進められるかがシーズン序盤戦の大きなカギになるだろう。

しかし、そんな不安要素を完全に払拭してしまえるほど、今冬加入した選手たちの顔ぶれは豪華だ。中でも楽しみなのがサイドの攻撃的な選手たち。2022シーズンのロアッソ熊本の躍進を支えた両翼、MF杉山直宏とMF坂本亘基が揃って加入。さらにベガルタ仙台からMF氣田亮真も獲得し、MFイサカ・ゼインら既存戦力も含めて他のJ2クラブと比較してもリーグ屈指の両サイド陣容となった。

最前線には、昨年J2初参戦のいわきFCを支えたFW有田稜を獲得。2022シーズンいわきJ2昇格の立役者が、山形の昇格を成し遂げる重要なピースとなり得るのかに注目したい。中盤では昨年ヴァンフォーレ甲府で活躍したMF松本凪生を期限付きで獲得。ボール奪取やミドルシュートなど、昨年以上の特徴を出せるかが見どころだ。

守備陣では、DF岡本一真とDF安部崇士が楽しみな存在に。昨年ザスパクサツ群馬の躍進を支えた20歳の岡本はさらなる成長も期待でき、安部はJ2での経験値も多く即戦力として失った戦力の穴を埋めてくれることだろう。

山形が、J1昇格へ迫った直近2シーズンで多大な貢献をした選手を攻守ともに失ったことは事実だ。しかし、特に攻撃面での戦力は今冬の補強によりJ2でもトップクラスとなったのは間違いないことから、戦力アップに成功したクラブ1位とした。2024シーズンこそ昇格を掴むため、開幕から新戦力が攻撃を活性化させられるかに注目だ。