*12:13JST 日経平均は続伸、買い一巡後は上値重い、決算前の先回り物色を注視
 日経平均は続伸。72.28円高の21781.85円(出来高概算4億7127万株)で前場の取引を終えた。
前日の米国株式市場では、朝方は複数の主要企業決算が嫌気されたが、翌日の欧州中央銀行(ECB)理事会や来週の連邦公開市場委員会(FOMC)での金融緩和への期待感から、S&P500及びナスダック総合指数は上昇に転じ、過去最高値を更新。シカゴ日経225先物清算値は大阪比75円高の21745円となり、その水準にサヤ寄せする格好から日経平均には朝方から買いが先行した。物色としては、前日の決算を受けた半導体関連銘柄を中心に大きく買われる銘柄が目立った。しかしその後は、前日からやや円安方向に傾いていたドル円に次第にこう着感がみられるなか、前場中ごろから開始された中国・上海総合指数をはじめとしたアジア株式市場が総じてさえないスタートとなったことから、前引けにかけての日経平均は上値が重くなった。

 セクターでは、金属製品が1%高になったほか、化学、その他製品、建設業、ゴム製品が上昇した一方で、鉱業や石油石炭製品などは軟調。指数インパクトの大きいところでは、前日の決算にて営業利益実績やSoCテスタ受注が想定を大幅に上振れたアドバンテスト<6857>や米司法省による傘下のスプリントとTモバイルUSの合併を承認する見通しと伝えられているソフトバンクG<9984>が日経平均を2銘柄で80円分押し上げた。
売買代金上位銘柄では、前日大引け後に発表された決算が好感された信越化<4063>が6%高になり、日本電産<6594>やサイバーエージェント<4751>、LINE<3938>の上げも目立った。そのほか、東京エレクトロン<8035>、任天堂<7974>、ソフトバンク<9434>、SUMCO<3436>も堅調。一方で、太陽誘電<6976>、村田製作所<6981>、ファーストリテ<9983>、ソニー<6758>はさえない。

 東京市場では本日、昨日決算を発表した信越化やアドバンテストによりアク抜け感が強まる展開となったが、朝方の買い一巡後は次第に上値の重い展開となっている。日経平均は足元の3営業日で5-200日移動平均線が集中するレンジを一気に上抜けたものの、5月7日から8日にかけて開けたマド(21639-21875円)埋めを前に上ヒゲをつける形になった(前引け時点)。先物手口においても、クレディ・スイス証券が23日に約2700枚、24日に約1400枚も差し引きで買い越し、連日で225先物の買い方筆頭となっている一方で、東証1部の売買代金は引き続き2兆円割れが継続中だ。
これを踏まえると、やはり海外短期筋によるショートカバーの動きが現状の日経平均を押し戻しているといった構図である点は否めないだろう。

 また、週後半から来週にかけては、26日に米4-6月期国内総生産(GDP)など米国の経済指標の発表が複数あるほか、翌週の日銀金融政策決定会合(29−30日)や米連邦公開市場委員会(30−31日)などが控える。市場の視線はこれらイベントへと注がれており、決算反応が一巡した現状は東京市場にも買い見送りムードが台頭しているようだ。全体として上昇圧力の強さに欠ける展開のなか、後場にかけての個別物色としては、決算を控えた銘柄に対する先回り物色が主体となろう。(雲宮 祥士)
《AK》