今週の新興市場では、日経平均と同様にマザーズ指数、日経ジャスダック平均も下落したものの、値動きには違いが見られた。週前半は米長期金利の急ピッチの上昇が続いたことで、特に新興株中心のマザーズ指数はきつい下げを強いられた。
ただ、週半ばから日経平均が値を崩しだしたのに対し、マザーズ指数は1100pt水準で底堅さを発揮し、週末にかけてやや値を戻した。株式相場全体の地合い悪化で値下がり銘柄の方が多かったが、米長期金利の上昇一服に伴い主力IT株の一角に買いが入った。なお、週間の騰落率は、日経平均が-4.9%であったのに対して、マザーズ指数は-2.8%、日経ジャスダック平均は-2.1%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のフリーが週間で8.2%安となり、JMDCとビジョナルは揃って同0.3%安と小安い。売買代金上位ではプレミアアンチエイジングやHENNGEが売りに押された。また、ジーネクストなどが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。
一方、メルカリが同2.7%高となり、売買代金上位では脱炭素テックファンド組成のENECHANGEや旅行関連のアドベンチャーが急伸。また、旅工房が上昇率トップとなった。ジャスダック主力では東映アニメーションが同11.2%安、ハーモニック・ドライブ・システムズが同13.7%安、ウエストHDが同8.9%安と軟調。また、太洋物産などが週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。一方、日本マクドナルドHDは同0.2%高、ワークマンは同0.3%高と小じっかりで、博展などが上昇率上位に顔を出した。IPOでは監視カメラシステムのセーフィーなど7社がマザーズへ新規上場し、いずれも公開価格を3割以上上回る初値を付けた。
ROBOT PAYMENTの初値はおよそ2倍となった。

来週の新興市場では、今週後半と同様にマザーズ指数が相対的に好パフォーマンスとなることが期待される。注目されていた米長期金利については、連邦政府の債務上限問題などがくすぶり、再上昇のハードルは高そうだ。また、海外投資家が日経平均・東証株価指数(TOPIX)先物の売り越しに転じ、インターネット証券で賑わっていた海運株などの株価トレンドも急速に悪化する一方、メルカリが強い値動きを示していることで、新興株に物色の矛先が向いてくる可能性がある。

緊急事態宣言等の解除に伴い旅行予約が8月中旬の10倍以上に膨らんでいるなどと報じられ、アドベンチャーなどの旅行関連株が引き続き物色されそうだ。ブシロードなどのイベント関連株や外食関連株にも注目したい。
また、9月後半のIPO銘柄ではセーフィーが堅調な値動きとなっているが、業績成長率の高いプロジェクトカンパニーなどもアップサイドが十分ありそうだ。

IPO関連では、10月7日にワンキャリアがマザーズへ、8日に日本エコシステムが東証2部及び名証2部へそれぞれ新規上場する。ワンキャリアは公開規模にやや荷もたれ感があるものの、採用DX(デジタルトランスフォーメーション)・プラットフォーム企業として業績を大きく伸ばしている。なお、今週はPhotosynth(11月5日、マザーズ)の新規上場が発表されている。