今週の日経平均は週間で268.33円安(-0.72%)の36887.17円と下落。東京市場は、トランプ米大統領の関税政策に関する発言に一喜一憂した結果、昨年9月18日以来となる36800円水準まで下落した。
なお、2月第4週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を6077億円売り越したほか、TOPIX先物を1500億円売り越し、225先物を3700億円売り越し、合計1兆1277億円の大幅な売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を5180億円買い越すなど合計で6139億円買い越し。事業法人は現物を1487億円買い越した。
■追加利上げ観測が強まり10年債利回りは1.5%まで上昇
7日の米国株式市場は反発。ダウ平均は前日比222.64ドル高の42801.72ドル、ナスダックは同比126.96ポイント高の18196.22で取引を終了した。米労働省が発表した2月雇用統計で、失業率は4.1%と1月4.0%から予想外に上昇した。労働参加者の減少が影響したと見られる。非農業部門雇用者数は前月比+15.1万人と、1月+12.5万人から伸びが拡大したが、予想は下回った。
日銀の追加利上げ観測が強まり、日本の金利は上昇傾向にある。先進国で段階的な利上げを実施しているのは日本だけのため、投資家は積極的な買いを手控えている様子。春季労使交渉では、12日の集中回答日を前にした決定が相次ぎ、連合が6日に発表した傘下の労働組合が要求した賃上げ率は平均6.09%と、1993年以来32年ぶりに6%を上回った。人材の獲得や囲い込みを急ぎたい企業サイドの方針と労働組合の要求が合致しており、大手企業は続々と賃上げを回答。こうした賃上げ機運の高まりも、日銀による追加利上げムードを後押ししている。米10年債利回りが4.2-4.3%水準で推移し、日米10年債利回りの差は2.8%前後まで縮小している。週末に加藤財務大臣が「12月以降、一方的な動きが見られる」と円高けん制発言を行ったが、為替市場への影響は限定的で、18-19日開催の日銀金融政策決定会合まで、思惑先行のドル安円高が続くとなれば、日経平均は一段安の可能性もあろう。
■防衛関連銘柄には光明も
一方、週末こそ利益確定に押されたが、週を通して三菱重工<7011>、IHI<7013>、川崎重工<7012>など防衛関連銘柄の一角は強い動きを見せた。2月28日のトランプ大統領とウクライナ・ゼレンスキー大統領の歴史的な首脳会談決裂を受けて、欧州ではウクライナ支援のために欧州連合(EU)特別首脳会議を開催。
■12日に2月米消費者物価指数発表
来週、国内では、10日に1月毎月勤労統計、国際収支、景気動向指数(速報値)、2月景気ウォッチャー調査、11日に1月全世帯家計調査、第4四半期実質GDP二次速報値、12日に第1四半期景況判断BSI、2月国内企業物価などが予定されている。
海外では、10日に独・1月鉱工業生産指数、貿易収支、11日に豪・3月Westpac消費者信頼感指数、英・2月BRC既存店売上高、米・1月JOLTS求人件数、12日に米・2月消費者物価指数、週次原油在庫、カナダ・中銀政策金利、13日に英・2月RICS住宅価格指数、欧・1月ユーロ圏鉱工業生産指数、米・週次新規失業保険申請件数、2月生産者物価指数、14日に独・2月消費者物価指数(確報)、英・1月鉱工業生産指数、製造業生産高、貿易収支、米・3月ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。