データ通信端末については、5Gデータ端末「UNX-05G」の出荷を2023年3月から開始した。同製品は、マルチキャリアの周波数に対応し、Wi-FiやEthernetを搭載したバッテリーレスのルーター・モデムである。
テレマティクスについては、OBDII型データ収集ユニット「GX700NC」が市場を確保している。同製品はNTTドコモ/KDDI/SoftBankの国内の主要なLTE周波数や、準天頂衛星システム「みちびき」など5方式の全球測位衛星システムに対応している。より多くの衛星測位システムを使うことで、ビルや樹木などで視界が狭くなる都市部や山間部でも測位の安定性が向上した。
農業ICT事業では、農作物の生産、加工、販売を行う「6次産業化事業」と、特許農法による「化学的土壌マネジメント」+ICTシステムによる「デジタル管理」のパッケージ販売を行う「フランチャイズ事業」の事業化を推進している。「6次産業化事業」では、スーパーフードとして人気の高いGOLDEN BERRY(食用ほおずき)の生産・販売を行っており、加工品のGOLDEN BERRY アイス及びGOLDEN BERRY フレッシュリキュール、セミドライゴールデンベリーを販売している。「フランチャイズ事業」では、自社試験圃場での栽培実績をもとに、独自の特許農法(多段式ポット)とICTシステムの提供に加えて、顧客の要望に沿った多種多様な農法・システム・農業関連製品を提供する農業総合コンサルティングサービスを展開している。
(3) 暗号資産・ブロックチェーン事業
売上高は60百万円(前期比92.4%減)、営業利益は27百万円(同96.5%減)となった。
3. 財務状況及び経営指標
2023年11月期末の資産合計は前期末比454百万円減少し、3,080百万円となった。内訳を見ると、流動資産が同75百万円増加した。
負債合計は前期末比108百万円減少し、118百万円となった。主な要因は、支払手形及び買掛金が32百万円、有利子負債が67百万円、未払費用が33百万円減少したことである。
純資産合計は前期末比345百万円減少し、2,961百万円となった。
経営指標を見ると、安全性を表す指標のうち、流動比率は前期末比664.1ポイント改善し1,299.3%となった。固定資産には換金性の高い投資有価証券も多くあり、事業継続のための資金繰りについては問題ないと弊社では考えている。有利子負債の減少により自己資本比率も2.7ポイント上昇し96.0%となった。加えて、有利子負債比率も前述のデット・エクイティ・スワップの実施により大幅に改善しており、長期的な財務安全性に懸念はないと弊社では見ている。
4. キャッシュ・フローの状況
2023年11月期末の現金及び現金同等物の残高は483百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは148百万円の支出となった。これは主に、投資有価証券評価損623百万円、のれん償却額97百万円、売上債権の減少89百万円があった一方で、税金等調整前当期純損失が630百万円、投資有価証券売却益134百万円、棚卸資産の増加額75百万円があったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは188百万円の収入となった。これは主に、投資有価証券の売却による収入276百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出47百万円、無形固定資産の取得による支出48百万円があったことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは66百万円の支出となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)