ミロク情報サービス<9928>は、会計事務所及び中堅・中小企業向けに、財務会計・税務システムを中心とするERP(統合業務管理)製品を開発・販売する業界大手である。ビジネスモデルを売切り型からサブスク型に移行中で、新規事業として中小企業等※の経営を支援する統合型DXプラットフォーム事業を育成している。
※ 年商5億円未満の中小企業・小規模事業者を想定。
1. 2025年3月期中間期の業績概要
2025年3月期中間期(2024年4月~9月)の連結業績は、売上高で前年同期比7.4%増の22,749百万円、経常利益で同5.8%増の3,028百万円と会社計画(売上高22,110百万円、経常利益2,870百万円)を上回る増収増益となった。会計事務所向け及び中堅・中小企業向け各種業務システムの販売が好調を持続したほか、クラウド・サブスク型への移行によりソフト使用料収入も大きく伸張したことが増収要因となった。利益面では、新卒社員の積極採用や給与改定による人件費の増加や仕入原価の増加があったものの増収効果で吸収した。主力ERP製品のサブスク・IaaS※提供を含むソフト使用料収入は同39.0%増と高成長が続いており、企業向けシステムを中心に売切り型からサブスク型への移行が順調に進んだ。
※ IaaS(Infrastructure as a Service)とは、クラウドサービスのうちハードウェアやネットワークなどのインフラ部分のみを提供するサービス。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比3.5%増の45,500百万円、経常利益で同7.0%増の6,750百万円と期初計画を据え置いた。サブスク型への移行を進めるため増収率はやや低くなるが、ストック型収益を積み上げることで持続的成長が可能となる収益基盤の構築を目指す。人件費の増加があるものの、増収効果に加えてソフトウェア製品の減価償却費減少が利益率の上昇要因となる。なお、主力ERP製品のサブスク比率は前期の15.5%から20%台に高めるほか、期末契約社数で同28.5%増の4,100社、ARR※で同31.0%増の36億円を目指す。
※ ARR(Annual Recurring Revenue):当該月に発生した売上高を12倍にした数値。
3. 「中期経営計画Vision2028」の進捗状況
同社は2029年3月期を最終年度とする「中期経営計画Vision2028」を期初に発表した。
■Key Points
・2025年3月期中間期業績はERP製品の販売好調により会社計画を上回る増収増益に
・2025年3月期業績は企業の旺盛なDX投資を背景に増収増益が続く見通し
・会計事務所及び中堅・中小企業向けのDX支援強化とサブスクモデルへの移行により、2029年3月期に経常利益120億円を目指す
・連結配当性向30~40%を目安に累進的配当を実施、自己株式取得も状況を見極めながら適宜検討
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)