外航海運業の売上高は前年同期比5.2%増の906.12億円、営業利益は同4.3%減の107.38億円となった。大型原油タンカー市況は、最大の原油輸入国である中国向け荷動きの低迷により軟調に推移し、前年同期と比べて下落基調となった。同社は、支配船腹を長期契約に継続投入し、安定収益を確保した。ケミカルタンカー市況は、新造船の竣工が限定的であったことに加え、紅海周辺の治安悪化による迂回輸送により船腹需給は引き続き引き締まっており、市況は依然として高い水準で推移したが、中国の景気回復の遅れや競合するプロダクトタンカー市況の軟化等を受け、当第3四半期末にかけて若干弱含みとなった。同社は、基幹航路である中東域から欧州及びアジア向けをはじめとする安定的な数量輸送契約に加え、高運賃のスポット貨物を取り込み、好採算を確保した。大型ガス船のうち、LPG船市況は堅調な米国からの荷動きを背景に底堅く推移したが、パナマ運河の通航制限が緩和したこともあり、船腹余剰感からスポット運賃は過去最高水準を記録した前年同期と比べて大幅に下落した。LNG船市況は、冬季需要に伸びは見られず、新規プラントの稼働開始前に新造船が竣工し船腹供給が過剰となり、スポット・定期用船料ともに前年同期と比べて下落した。同社は、LPG船・LNG船共に、既存の中長期契約を中心に安定収益を確保した。ドライバルク船市況は、ポストパナマックス型においては夏場以降中国向けの鉄鉱石や穀物等の輸送量が減少し軟調に推移した一方、ハンディ型では比較的堅調に推移した。同社では、専用船が順調に稼働し安定収益確保に貢献した。ポストパナマックス型及びハンディ型を中心とする不定期船隊では、前半では好市況を享受出来た部分もあり、想定通りの収益を確保した。
内航・近海海運業の売上高は同11.7%増の85.25億円、営業利益は同51.3%増の4.21億円となった。
不動産業の売上高は同0.9%減の96.63億円、営業利益は同8.8%減の25.85億円となった。東京都心のオフィスビル賃貸市況は、空室率が前年同期と比べて改善し、新築大型ビルへの集約移転や利用面積の拡張等から、賃料水準は上昇した。同社所有ビルでは、オフィスフロアが順調な稼働を継続し、安定した収益を維持した。商業フロアは、一部空室を残しているものの、飲食テナントを中心に売上の回復傾向が見られた。英国ロンドンのオフィスビル賃貸市場は、好立地で高グレードなビルの需要は引き続き堅調で、空室率が低く賃料も安定的に推移したが、その他のビルの空室率は依然として高く、市場全体としては前年同期と同様に高い空室率が続いた。同社所有ビルは、オフィスフロア・商業フロア共に順調に稼働し、収益を維持した。また、前期末に取得した二棟目のオフィスビルについては、初期費用が第1四半期に計上されたが、当第3四半期累計期間を通じて収益に寄与した。イイノホール&カンファレンスセンターにおいては、文化系催事は堅調に推移し、ビジネス系催事の回復も継続しているため、稼働は改善に向かった。
2025年3月期通期については、同日、連結業績予想の修正を発表した。売上高が前期比3.7%増(前回予想比2.1%減)の1,430.00億円、営業利益が同12.9%減(同4.6%減)の166.00億円、経常利益が同22.5%減の169.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.9%減の172.00億円としている。
また2023年5月に公表した中期経営計画において、2024年3月期通期連結業績と2025年3月期通期連結業績が当初計画の数値目標を上回る見込みとなったこと、事業ポートフォリオ戦略における投資が順調に進んでいること、これら及び最適資本構成を踏まえた財政状態等を総合的に勘案し、2025年3月期の期末配当において1株当たり5.00円の特別配当を実施することを発表した。これにより、2025年3月期の1株当たりの期末配当金は29.00円(普通配当24.00円、特別配当5.00円)とし、中間配当と合わせた年間配当金額は1株当たり54.00円を見込んでいる。