2. 中期の成長戦略
中期の成長戦略に関して同社は、当初予定の計画値をほぼ前倒しで達成したことや、マーケット環境が変化していることなどを受け、2023年12月に2026年10月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を公表した。慢性的な人手不足、学生の売り手市場、求職者のセカンドキャリア形成への意識の高まりなどを受け、キャリア採用に対するニーズが高まるなか、「『20代のセカンドキャリア』を支援するプラットフォーマー」をありたい姿として再定義し、「Re就活」を中心としたキャリア採用サービスに先行投資を重点的に実施することにより業績を拡大する方針だ。
3. 競合優位ごとの成長戦略と投資方針
(1) 働き手を集める力
「Re就活」並びに「Re就活エージェント」などのRe就活シリーズの利用求職者数をさらに拡大することにより、同社の成長基盤をより強固にする。具体的には広告宣伝投資により取引企業数を継続的に拡大し、各メディアの掲載求人件数をさらに増加することに加えて、システム開発投資を行い、20代が使いやすい、20代に支持されるUI・UXにアップグレードすることにより、20代から支持される情報メディアとしての立ち位置を強化する。また、主要ターゲットであるZ世代、ミレニアル世代の仕事観や転職活動における課題を敏感に捉えながら新規サービスを開発・投入することにより、転職活動の新たなスタイルを能動的に発信することにも注力する。
(2) 企業・組織を集める力
利用求職者数の拡大を図ると同時に、Re就活シリーズの利用企業数をさらに拡大する。具体的には、広告出稿時のAI・データ活用をさらに強化し、利用求職者数のさらなる拡大を図ると同時に、マーケティング投資によってカスタマーサクセスの充実を推進し、導入企業の採用成功をより強力に支援する。また、生成AIなどの最新テクノロジーを活用したシステムを開発することにより、採用活動のDXに貢献する構えだ。
(3) 人と組織をつなぐ力
働き手と企業の双方の利用を増やすとともに、社会のトレンドを捉えたサービス提供や、最新テクノロジーを活用したサービスの提供を通して「価値あるマッチング」の実現をさらに促進する。具体的には、システム開発投資を継続して実施することにより、基幹Webメディアのアップグレードに取り組み、利用者ごとに最適化された情報接触体験の提供を推し進める。同時に、生成AIなど最新テクノロジーの活用により、タイパ(タイムパフォーマンス)の良い新たな転職・採用活動体験の提供に注力する。また、ジョブ型雇用が拡大するなかで、新規事業開発投資を積極化し、「Re就活」ブランドを生かしながら、採用需要の増加が見込まれる領域で業界や職種に特化した新規サービスを開発する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)