1. 会社概要
同社は2001年、WMSの開発・販売を目的として埼玉県にて創業した。社名のロジザードはLogistics(物流)とWizard(魔法使い)をつなぎ合わせた造語であり、「物流を魔法のように革新的に効率化して、業界や社会に貢献する」という想いが込められている。
代表取締役社長の金澤茂則(かなざわしげのり)氏がアパレル業界の出身であることから、アパレル業界向けWMS「ロジザードPLUS」(2023年1月にサービス提供終了)を主力サービスとして事業を開始した。システムに顧客のニーズを反映させる形で対象顧客を拡大し、現在では食品・飲料から化粧品、3PLに至るまで幅広い業種の顧客にクラウド経由でサービスを提供している。
今後はコロナ禍を経て出現してきた新たなニーズを的確に捉え、将来の業績拡大につなげる方針だ。具体的には、「BtoB企業に広がるWMSニーズ」「労働力不足を補う自動化トレンド」「進む店舗のスマート化とオンラインとの融合」といった新たなトレンドを自社の業績に取り込む。そのために、製品開発や人材採用・育成に先行投資し、中長期的な業績拡大と企業価値の向上に向けて事業基盤をより強固にしていく。
2. 事業内容
同社の事業は、クラウド経由でWMSを提供する「クラウドサービス」、クラウドサービスの利用顧客に対してシステムの導入支援・サポートを行う「開発・導入サービス」、バーコードラベルを作成する専用プリンターなど倉庫作業に必要な機器の販売を行う「機器販売サービス」の3つに大別される。2025年6月期中間期のサービス別の売上構成比は、クラウドサービスが76.7%、開発・導入サービスが18.6%、機器販売サービスが4.8%となっている。主力であるクラウドサービスは顧客から月額利用料を徴収するサブスクリプションモデルである。一度導入した後は自動的かつ定期的に収益が発生するため利益率が高く、安定した収益基盤となっている。一方、開発・導入サービス、機器販売サービスに関しては、顧客からの発注を受け、納品した際に収益が発生するビジネスモデルとなっている。
(1) 倉庫在庫管理システム(WMS)「ロジザードZERO」
小売業、流通業、3PL企業を顧客として倉庫内に保管されている商品(在庫)の数を正確に把握するとともに、倉庫内作業の効率化を実現するシステムである。
また、サポート専任チームによる充実したサポート体制、最短1ヶ月で導入可能なスピード実装、外部システムとの多彩な連携も同サービスの強みだ。最小限のカスタマイズで様々な外部システムと連携できるため、顧客は低コスト・短期間でサービスを導入できる。特に、荷主からのタイトなスケジュールに対応しなくてはならない3PL企業に対しては、導入までの期間が短く、荷主の指定する出荷日までに確実にシステムを稼働できる安心と信頼のサービス力が訴求ポイントになっている。外部システムとの連携は着実に進行しており、2024年6月期にはOMO/オムニチャネル※対応型総合ECプラットフォーム「W2 Unified」・D2Cリピート通販向けECプラットフォーム「W2 Repeat」、クラウド録画サービス「Safie」、送り状発行システム「Ship&co」、SaaS型EC構築プラットフォーム「futureshop」、在庫予測・粗利最大化ツール「LTV-Zaiko」などとの連携を新たに開始している。また、その他にも倉庫業務を見える化するクラウドサービス「SmaCo」、物流倉庫レポートツール「Quick Loda」とシステム連携に向けた実証実験も開始しており、同サービスの利便性の向上に継続的に取り組んでいる。
※ オムニチャネル(Omni-Channel)とは、消費者がモノを買うときにすべて(=オムニ)の接点(=チャネル)で継ぎ目なく購入できるようにすること。販売側が提供する各チャネルに対して、オンライン(例:ネットショップ)・オフライン(例:実店舗)を問わず、消費者側が在庫数やポイントカードなどの心配をせずに商品を購入できる、「シームレスな購買体験」を提供する。
具体的な活用シーンとしては、消費者からの注文を受けた際のピッキング作業がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)