レビュー
「まだまだ事業家として何も成し得ていませんが、志はあります」。2018年8月11日、孫正義氏61歳の誕生日のメッセージだ。
ソフトバンクグループの創業者兼代表の孫正義氏。傘下にはヤフー、アリババがあり、2019年にはZOZOを4000億円で手中に収めた。フォーブス「日本の長者番付」では、2011年より連続で1位か2位。それでも「何も成し得ていない」とはどういうことか?
しかし、こうした発想こそが彼の魅力の1つだ。「一番でないと嫌」と言い切る正直さ。なりふり構わずに前進する泥臭さ。ダメなときには格好つけずに開き直る、ある種のプライドのなさ。そんな人間らしさに溢れた稀代の事業家・孫氏に憧れる若者も多いことだろう。
本書は、50 万部を突破した『志高く 孫正義正伝』を著した、作家・井上篤夫氏が、起業家、および起業家を志す人々のために書き下ろした「起業家のバイブル」と呼ぶべき一冊である。 孫氏の生い立ちから現在まで、起業家や新しい挑戦をする人たちに響くエピソードを中心として、英語訳とともに全7章36項にまとめられている。序章では、起業家を「馬」「ユニコーン」にたとえて、独自の成功論を展開する。また、彼の小さい頃のエピソードも興味深い。
これから自分の道をどのように切り開いていけばいいのか。孫氏の熱い言葉に耳を傾けていただきたい。
本書の要点
・起業家には狂ったほどの情熱が必要だ。起業家とは1ビリオン(10億ドル)を生み出す者を指し、それ未満は起業家もどき。さらに30ビリオン、100ビリオンと企業価値を上げることができれば、事業家となる。
・人真似をしても絶対に勝つことはできない。失敗しても試行錯誤を重ねれば、必ずオリジナルな結果が出る。
・経営者は従業員の300倍考えなければならない。あらゆる場面を想定して徹底的に準備をし、実践し続けることが大切だ。
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