レビュー

コーヒーチェーンで世界的に有名なスターバックス。このスターバックスが、「世界中の店舗で使い捨てプラスチックストローを2020年までに廃止する」と発表した。

賛否両論を生んだこの話題だが、読者のみなさんはこれをどう捉えただろうか。プラスチックの海洋汚染問題が叫ばれる昨今において、企業イメージ向上のための行動だろう、と感じた人は多いのではないだろうか。しかし、残念ながらそれでは本質をまったくつかまえられていない。
スターバックスを始めとしたグローバル企業が推進する、環境・社会課題への対応の真意は、本書を読むことでかなり明らかになるはずだ。その1つのヒントは、オールド資本主義からニュー資本主義への移行という新たなムーブメントにある。日本は政府もメディアも企業のCSR担当さえも、その大きなうねりを正しく捉えることができていない。まさに「企業イメージ向上」の地点から踏み出せていないのだ。記憶に新しい2008年のリーマン・ショックは、日本と欧米のグローバル企業を分けた大きな分岐点となった。いま、新型コロナウイルスがそれ以上の分岐点になろうとしている。
アフターコロナにおいて再び世界で戦っていくための戦略を、日本企業は取ることができるだろうか。それとも、さらなる経済の冷え込みにあえぐこととなるのか。本書は重要な道しるべとなるはずだ。

本書の要点

・現在の経済は「オールド資本主義」「脱資本主義」「ニュー資本主義」「陰謀論」という4つの認識で捉える必要がある。このうちニュー資本主義は、環境・社会への影響を考慮すると利益が増えるという考え方だ。
・ニュー資本主義は機関投資家が主体となり、ESG投資という戦略によって隆盛する。しかし、日本では正しい認識をされず、グローバル企業に大きく遅れをとっている。
・ESG投資の土台となる概念は、長期的な環境・社会課題への対処を考慮する長期思考だ。



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