レビュー

「勇気さえあれば」と思ったことがある人は、ぜひとも本書を手に取ってほしい。なぜなら、人間への温かいまなざしにあふれた本書は、著者の創設した「個人心理学」の枠を超え、まさに人間の「生き方」について考える本になっているからだ。

そして「人はみんな、どんなことでも成し遂げられる」という著者のメッセージを受け止めてほしい。
本書において、著者はまず、何が人の「生き方」を決めるのかについて紹介する。そして、人のすべての行為や活動の方向を決定づけているのは、それぞれの「人生の目標」であることを述べる。
ここはぜひ、自分自身の「人生の目標」とは何か、自問自答してみたいところだ。それだけではない。自分のまわりの人たちの「人生の目標」を想像してみてほしい。
妻の「人生の目標」は何だろう? 子どもの「人生の目標」は何? 上司の「人生の目標」は?
実は、この「人生の目標」と、人生をどのように生きるかは、子ども時代にどのように育ってきたかと密接に関わっている。著者は多くの事例を挙げながら、幼少期の体験が人の生き方にどう結びつくのかを真摯に語っていく。
いろんな人生の重要な場面で、人はどう決断し、どう行動するのか。本書を読み、アドラー心理学の神髄を知ることで、私たちは、人と人との関わり方の本質について、今より少し理解できるようになる。そうすれば、自分にもまわりの人たちにも「勇気」を与えられる人間に、一歩近づけるのではないだろうか。

本書の要点

・「個人心理学(アドラー心理学)」においては、個人の人生を「全体」としてとらえ、一つ一つの行動や反応、欲求に、その人の人生に対する考え方が表れるとする。


・人は幼年期に、将来に向けた具体的な目標を決めるとともに、大人になったときのパーソナリティーの「原型(プロトタイプ)」を作る。
・ある人の「目標に向かう一貫した動き」のことを「ライフスタイル」と呼ぶ。「ライフスタイル」を突き止めるには、「古い記憶」を知ることが一番有効だ。



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