レビュー

近年、技術の進歩によって、人間が行わなければならない力仕事や単純作業は徐々に減少している。オフィスでの事務作業も、システム化やRPAの普及により自動化が進んでいる。

その一方で増えているのが「問題を解決する仕事」だ。特に、新型コロナウイルスの流行によってリモートワークが進むいま、離れた場所で働く者同士が、お互いの抱える問題をすり合わせ、解決するために、オンライン会議の機会が増えている。そんな中、どうしたら会議をうまく進行できるだろうか、と悩んでいる方も少なくないだろう。
本書は、著者が6600人以上のビジネスパーソンから収集した「会議の課題」と、その対策をまとめた集大成といえる。現場のリアルな声がちりばめられているため、「あるある」と思う読者も多いだろう。
著者はNECグループの会社員時代に、年1000回以上の会議で進行役を務めていた。しかし、あるとき部下から、会議の進め方について「人の気持ちが全く分かっていない」と直談判されてしまったという。そんな著者が見出した渾身の解決策が、本書で提示されるファシリテーションの技術だ。ファシリテーションの基礎知識、問題解決の技法、具体的な進行表の作り方、オンラインミーティングのコツ。こうした内容を網羅的に学べる優れものの一冊だ。オンライン・オフラインを問わず、会議の進め方に悩んでいるビジネスパーソンは、ぜひ本書でファシリテーションの本質を学んでみてほしい。

本書の要点

・良い会議の条件は「時間厳守」「決まる・まとまる」「参加者の納得度が高い」の3点である。


・ファシリテーターの役割は、会議が円滑に行われるように、プロセスをリードし、活発な意見が出る「場づくり」を演出することだ。
・会議で議論をする際のプロセスは、3段階に分けられる。まず参加者から意見を集め、それを整理し、方向性を決断・合意形成を行うというステップだ。
・会議における合意形成は「参加者が会議終了後、作業するうえで迷うことがないレベル」で行う。



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