レビュー

「無くて七癖」というけれど、口ぐせについても同じだろう。本人はあまり意識していなくても、つい口にしてしまう言葉はあるものだ。


なかには「どうせ、私なんて……」といった、やたらに自己を卑下して周囲を暗くするようなものもある。「だからー(、言ってるじゃないか)」といった攻撃的なものもあるだろう。こうしたネガティブな口ぐせはしばしば、責任を回避したい気持ちや自信の無さ、反対に自信を反映している。
本書は口ぐせを「長年自分を守ってきた“鎧”」と例える。問題はネガティブな口ぐせが、現実にネガティブな状態を呼び寄せるケースがあることだ。
例えば、何かのきっかけで「自分はダメだ」が口ぐせになったとする。
最初は「ダメだけど、いつかよくなる自分」という自信の裏返しだったものが、いつの間にか「何をやっても本当にダメな自分」というイメージにすり替わるようなケースだ。それにもかかわらず自分を卑下することが妙なプライドとなり、無意識に周囲を見下すような態度を取ってしまうことさえある。
かといって、何でもポジティブな口ぐせに変換すればいいというものではない。口ぐせはいつの間にか心の奥底に根差しているものであり、手放すことは容易でない。
たかが口ぐせ、されど口ぐせ。もし古い口ぐせを手放し、新しい口ぐせを身につけることができたら、人生が変わるかもしれない。
本書は、そうした口ぐせとのつき合い方を教えてくれるマニュアルだと言える。

本書の要点

・“口ぐせリセット”は、言葉に影響されやすい人が迷い込むネガティブなスパイラルから抜け出す助けとなる。口ぐせを大きく変えることで性格も人生も好転していく。
・「普通は~」「基本は~」「世間では~」といった口ぐせは「自分は世間一般と同じ感覚で“普通”だ(、だから正しい)」という主張につながる。しかし、その普通は社会の“普通”とは限らず、押し付けがましい印象を与えかねない。
・「ムダ」「ダメ」「ダカラ」といった“ダ”がつく口ぐせは要注意だ。

相手の基準を否定し、無理に自分の基準を通そうとする言葉である。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に2,100タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。