レビュー

前国連事務総長であるコフィー・アナン氏がSDGsの前身となるMDGsを2000年に掲げてから20年余りが経過した。日本でも当時と比べて、「サステナビリティ(持続可能性)」「エシカル(倫理的な)」という言葉が身近なものになってきた。

一方で、ロシアのウクライナ侵攻など、自身の倫理観が問い直されるような事態が世界各地で起こっている。
著者の白木夏子氏は国際協力の実務経験を積み、現在はエシカルなジュエリーブランドを経営する起業家だ。社会課題を解決するために、起業、ファッション、SDGsといったテーマで精力的にイベントや講演を行っている。本書では著者の半生を軸に、エシカル・ファッションが広がるまでの歴史、エシカル・ビジネスを起業するための方法が紹介されている。
要約者が感銘を受けたのは、「自分が諦めないで臨める分野の仕事(感情面)と、お金がまわせる仕組み(ビジネス面)の両方を組み合わせることがとても大切」という文章である。この文章は、哲学者アリストテレスが説いた説得の三原則「ロゴス・パトス・エトス」を彷彿させる。
著者がロゴス(論理)とパトス(情熱)を土台としてエトス(エシカル・ビジネス)を実現しようとする様子から、新たな挑戦を成功させる秘訣を学べるのだ。
本書はミレニアル世代やZ世代向けに書かれているが、社会課題の解決をめざす方はもちろん、新たな挑戦をしたい方にうってつけの一冊だ。明るい光がさしこんでくるにちがいない。

本書の要点

・幼少期からファッションに関心を持ってきた著者は、学生時代の衝撃的な体験を経て国際協力の道を志す。やがて、新しい資本主義を目指すビジネスによって世界を変えていけると知り、エシカル・ビジネスを始めた。
・すべての人が偏見や差別に怯えることなく自分の心に従って生きていける社会が、著者の考えるインクルーシブな社会だ。


・エシカル・ビジネスを成功させるには、自分が諦めないで臨める分野の仕事(感情面)と、お金がまわせる仕組み(ビジネス面)の両方を組み合わせることが大切である。



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