レビュー

あなたの職場にLGBTQはいますか? 「はい」と答える人は、「LGBTQ」という言葉の広がりに反して、さほど多くないだろう。「うちにはLGBTQはいないのだから対策は不要なのでは」と思いたくなるかもしれないが、そうはいかない。

大阪府の調査結果を見ると、12人に1人はセクシュアルマイノリティという計算だ。あらゆる企業のステークホルダーの中に「LGBTQの当事者がいるかもしれない」と想定しておく必要がある。特に、LGBTQの従業員への対応は、喫緊の課題だといえる。
本書は、LGBTQの働き方を考えるうえでの基礎知識をわかりやすく解説するとともに、LGBTQへの対応方法、さらにはLGBTQに抵抗感を感じる他の従業員への対応方法を紹介する。業務上で必要な配慮から、意見の擦り合わせ、日常の会話での注意点まで、知っておきたい情報が網羅されている。
自らもトランスジェンダー当事者である著者の宮川直己氏は、LGBTQが働きやすい職場をつくることは、誰にとっても働きやすい職場をつくることにもなると説明する。
本書におけるLGBTQへの対応を端的にまとめるならば、自分の常識を押しつけずに、相手のあるがままを受け入れ、人として尊重するということに尽きる。こうした扱いを望んでいるのは、セクシュアルマイノリティだけではないはずだ。本書の取り組みを実践することは、あらゆる人が人として尊重され、働きやすい職場をつくることに直結しているのである。LGBTQの働き方について知りたい、多様な人が働きやすい職場をつくりたいと思ったら、本書をおすすめしたい。

本書の要点

・LGBTQの従業員への対応は、優秀な人材の確保、法的リスク回避の観点であらゆる企業にとって重要な課題だ。
・多数派も含め、セクシュアリティは一人ひとり異なる。

自分の「当たり前」を押しつけず、普段の言動に注意を払うことが、全ての人にとって安心して働ける職場づくりの第一歩だ。
・カミングアウトを受けた時は、まずは黙って聴く。そして、「話してくれてありがとう」「秘密は守ります」とだけ伝えよう。



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