レビュー

脳に汗をかくほど「考え抜く」ことができている人は、きっと多くない。メールやチャットで素早くやり取りし、数秒単位での意思決定を繰り返して日々の業務を進めることが、オフィスワーカーの最優先事項だからだ。

「なぜこの仕事をする必要があるのか?」と、一つひとつの仕事の意味を問う人は、周囲から「現実を見てよ」とため息をつかれるのがオチだ。
一方で、「考えが浅くない?」「もっとよく考えて」などと言われてしまうこともあるだろう。時間があれば「そもそも考えるとは何なのか?」を研究するのもいいが、多くのビジネスパーソンにそんな時間はない。
そこで手に取ってほしいのが本書である。本書には、「考え抜く」と「やり抜く」の両方を高レベルで実現しなければならない人のためのエッセンスがまとめられている。著者は『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』などで知られる浅田すぐる氏だ。浅田氏は、トヨタ時代のエピソードを紹介しながら、社会人教育のプロフェッショナルとしての経験も交え、「紙1枚」で問題を解決するフレームワークを提供してくれる。
本書の特徴は、著者自身が「映画のストーリー進行のよう」と表現する、書籍全体の構造だ。あなたにも、すべての内容がつながり、「そういうことだったのか!」と感動するタイミングがあるはずだ。
まずは、トヨタパーソンが繰り返し学び、実践するという「TBP」を学ぶことから始めよう。「考え抜く力=やり抜く力」習得への第一歩を踏み出せるはずだ。

本書の要点

・トヨタでは問題解決の8STEPをTBP(Toyota Business Practice)として言語化している。

STEP1から5はPDCAの「P」にあたる、「拡げる思考」と「絞る思考」を繰り返すフェーズだ。
・トヨタには文書を「紙1枚」にまとめる文化がある。「紙1枚」という制約を課すことで、考え抜く力が身につく。
・考え抜く力を高めたいなら、32マスの「紙1枚」を使ったフレームワークがおすすめだ。この紙に、考えたい事項における「問題」「原因」「対策」を複数書き出し、「貢献度」「難易度」「鮮度」の軸で「対策」を絞り込んでいく。



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