レビュー
やる気のない部下や主体的に行動しない部下に悩む人は多いだろう。本書を読むと、その悩みが解決に近づくはずだ。
著者は新卒でリクルートに入社し、大手法人営業や新規事業立ち上げなどを歴任したのち、法人向けコーチング会社を設立した。上長から「やる気がない」と言われていた人にコーチングをして、「大きく変わった」という評価を得ることも珍しくないそうだ。そんな著者が経験した1000回以上のコーチングセッションを分析し、そのノウハウをまとめたのが本書である。
本書によると、部下が行動しないのは「やる気がないから」ではない。現代日本においては、昔に比べて経験の量が減っており、経験に裏打ちされた成功・失敗の情報が少ないため、どうしても「まずやってみよう」という精神状態に向かいづらいのだ。
そこで見出したのは「やる気に依存しない」コーチングテクニックだ。その真髄は、対話によって行動のきっかけをデザインすることにある。部下のモチベーションを上げようとするのではなく、「やらない理由」を排除し、「やる理由」を作り出すのだ。要約者自身、本書で紹介される問いかけを見ていると、内省が進み、一歩を踏み出したくなるように感じた。
管理職の立場にある方はもちろん、「なぜ周囲からやる気がないように見られてしまうのだろう?」と悩む「部下」の方にも本書をお勧めしたい。相手との信頼関係が強固になるとともに、業務がうまく回り始めるに違いない。
本書の要点
・飢えた人に対して「すぐに魚を釣ってあげる」が「ティーチング」、時間はかかるが、次の発展性を意識して「やり方を一緒に考える」が「コーチング」である。
・コーチングを始める際、まずすべきことは「コーチングレディ(コーチングや業務に前向きな状態)」を作ることだ。
・コーチングレディが完了したら、経験する→振り返る→教訓を引き出す→応用する、の4つのステップから成る「経験学習サイクル」を繰り返す。このサイクルを回すことで、コーチングの相手は「経験から学び、自立自走できる状態」に近づく。
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