レビュー

「経営」というと、企業の経営やお店を営むこととイコールで、「自分には関係ない」と思う人は多いだろう。しかし本書の著者によると、その考えは間違っているという。

経営とは本来、自分と他者の幸せを達成するために、それを妨げるものを解消して、豊かな共同体を創り上げることである。つまり、私たちは誰もが人生の経営者であり、経営と関係のない人は誰一人としていないのである。
本書では、仕事、家庭、恋愛、就職活動から、心労、孤独、怒りなど、人生で生じるあらゆるシーン・感情の問題を経営視点で読み解き、その解決方法を示していく。いずれも既視感のある例題を示しており、「これは自分のこと?」とギクっとすることもしばしばだ。
たとえば、親子の問題。子供を大事に思うあまり子に干渉しすぎる親もいれば、逆に自由を尊重して放任しすぎる親もいるだろう。
いずれにしても子供にとっては迷惑な話で、往々にして問題に発展する。だがここに「経営視点」を挟んでみると、「子供に幸せになってほしい」という一つの「目的」が浮かび上がる。この目的を達成するためには、どのような方法があるのか。このような思考を日常に持つことが、「人生を経営する」ことに他ならない。
一つひとつのエピソードはユーモア溢れるもので、読み物としてもおもしろい。本書を「経営の本だ!」と固くとらえずに、気楽に読み進めていただきたい。

本書の要点

・世の中のあらゆることは「経営」でできている。経営とは本来「価値創造(幸せ)という究極の目的に向かい、豊かな共同体を創り上げること」だ。本来の経営概念を持てば、個人も社会もより豊かになることができる。
・夫婦の問題は、相手に「親」を求めてしまうため引き起こされる。夫婦は価値提供のマインドを持って、主体的に問題を解決しなければならない。
・「理想の恋愛相手」に出会える確率は低い。

自分の行動と思考を変えて、気の合う人と理想的な関係を創造していくほうが得策だ。
・心労を抱えやすい人は「ゴールに到達できればいい」と考え、細かいプロセスを気にしないようにしよう。



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