レビュー

「余白」という言葉を聞いて、あなたは何をイメージするだろう? 積極的につくりたいポジティブなものだろうか、それともできる限り削りたいネガティブなものだろうか。
本書における「余白」は前者を指す。

本書の冒頭に挙げられている例を借りると、「何かを書いたあとに残ってしまったスペース」ではなく「書かれている何かを引き立たせるために、あえて余らせているスペース」「あらゆるものが入る可能性にあふれた空間」「本当に大事なものを守るために、あえて余らせている時間や力」などといったニュアンスだ。
本書の著者、山﨑晴太郎氏は、アートディレクター・アーティストであり、デザイン事務所の経営者でもある。その経験をもとに、「『白と黒の間にある灰色の領域を活用してみよう』という柔軟な考え方を勧める」のが本書だ。この考え方を山﨑氏は「余白思考」と呼んでいる。
たとえば、山﨑氏がフリーランスではなく会社経営という働き方を選び、チームで仕事をするのも「余白思考」によるものだそうだ。ひとりで仕事をしていると、アウトプットの量や質は自分の枠内に留まってしまう。
一方、誰かと一緒に仕事をすると、期待を超えるアウトプットが生まれやすいのだという。
私たちは自分の予定やバッグの中身をたくさん詰め込むことに慣れている。だが、本書を読むと、自分の生活にはもっと自由な「余白」が必要であると気づけるだろう。その気づきにより、あなたの日常は身体的・心理的・時間的にラクなものになるはずだ。

本書の要点

・自分自身と「外」との間に身体的・心理的なスペースがないと疲れてしまう一方、余白を上手に作れれば、忙しい毎日でも今より「ラクに」「楽しく」「前向きに」生きられる。詰め込みすぎはやめて、余白を取り戻そう。


・チームで仕事をする際、リーダーは「ここからここまでは自由に動いてOK」という幅を設定し、その間の余白をメンバーに開示しておくことが重要だ。



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