レビュー

「おい、どうなってるんだ!」「すぐに商品を交換しろ!」――。公衆の面前で大声を上げ、スタッフに向かって延々と文句を言い続ける人たち。

飲食店やショップ、病院、役所の窓口など、街のあちこちで見かけるようになった。
理不尽なものも少なくなく、最近では「カスハラ(カスタマーハラスメント)」として社会問題になっており、政府や自治体も対策に取り組みはじめている。2022年に厚生労働省は「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を発表し、2024年には東京都が「カスハラ防止条例」を制定する方針であることを公表した。
「お客様は神様です」と、客であるだけで厚遇される時代は終わったのだ。
本書では、常識の枠を超えた「不当な要求」をするクレーム、つまり、「ハードクレーム」に対し、組織が取るべき対応を指南している。クレームは通常、顧客対応の最前線である「現場」に寄せられ、正しい対策が徹底されていないことから、現場スタッフに対応が任される。だが、クレーマーに絡まれた従業員が心を病んで休職してしまったり、クレーム対応がまずかったゆえに、組織の評判を落としたりすることも珍しくない。いまやクレーム対応は、組織運営の根幹に関わるリスクマネジメントの一種なのである。
本書ではクレーム対応研修のプロである著者が、クレーム対応の基本から、悪質なクレームやカスハラに対する心構えと具体策、組織として整備すべきことなどが事細かに提示されている。本書をクレーム対応のハンドブックとして、大いに活用いただきたい。

本書の要点

・商品やサービスに対して不当な要求をし、従業員を困らせる「ハードクレーム」が増えている。クレーム対応は「現場」任せにせず、組織が一丸となって取り組まなければならない。


・クレーム対応は初動が肝心だ。まずは「一般クレーム」か「ハードクレーム」かを見極めよう。
・ハードクレーム対応では、「自分を守る」「スタッフを孤立させない」「組織の方針・ルールに沿って行動する」を徹底する。また、「ハードクレームには“NO”と言っていい」ことも覚えておこう。
・相手の要求に全面的な謝罪をしてはいけない。詫びる対象を明確にした「部分謝罪」が正解だ。



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