レビュー
これは世界をより深く理解するための本である。
世界は複雑だ。
例えば私たちは国境という境界線で国の内と外を分けている。しかし、本書に登場する境界線はそれよりももう少しわかりにくく、そして好奇心をくすぐられるものである。目には見えないけれど確かに存在する、「見えない境界線」だ。
ある国の生態系を分けるための線が何を意味し、人々の心理にどのような影響を与えるか。ドイツを東西に分けたあの壁は、崩壊後にどのようなものを残したのか。誕生日を二度迎えることのできる「あの不思議な線」はどうして出来たのか。私たちは様々な境界線について考えることで、少しだけ世界の解像度を高めることができる。
本書では世界中に存在する30の「見えない境界線」を取り上げ、それらが出現した経緯やその地にいる人たちへの影響などを解説する。
世界は驚きと興奮に満ち、知識が大洋のように横たわっている。そんな知識の海に少しだけ深く潜るために、「境界線」のことを知ってみてはいかがだろうか。
本書の要点
・世界には、目には見えないが「境界の働きを持つ線」が無数にある。
・竜巻が多発する北米中西部は伝統的に「竜巻回廊」と呼ばれている。だが最近は南東部のほうが発生率が高く、被害も大きくなっている。
・イギリスのイーム村はかつて黒死病に見舞われた。しかし、自主的に隔離することで外への黒死病の蔓延を防いだ。この事例はパンデミックの重要なケーススタディである。
・北アイルランド地方にある「平和の壁」は、心理的な境界線が物理的な形として現れた例である。
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