レビュー
人生100年時代という言葉とともに注目されるようになった「リスキリング」。これは学び直しの必要性を指すものである。
本書で紹介されているリスキリングは、新しいことを学び身につけることを推奨しようとするのではない。むしろ、今までに身につけたことを他の場でも活かすための意識改革としてリスキリングをとらえている。この考え方であれば、何歳になってからも学び直しは可能だし、今まで学んできたことが無駄になることもない。むしろ、リスキリングは今後の人生を充実させるための新たなスタート地点にさえ思える。
著者は、小学校から大学院までの多くの時間を海外で過ごし、高校にあたる年齢ではブラジルで独学で勉強し大検を受けたというユニークな経歴を持っている。本書では、著者が実践してきた独学を振り返りつつ、独学のコツを伝授してくれる。著者なりの独学のポイントは「自分のペースで、時間が空いた時に、自分が学びたいことを学ぶ」こと、そして「頑張りすぎないこと」だ。本書を読んでいると、独学を選択肢として持っておくことは、自分の世界や人生を広げてくれるものだと感じられる。学校の勉強が苦手だった人でも、自分にあった勉強法で、自分の興味について学び、人生を広げようとするならば、楽しく学び直せるのではないだろうか。リスキリングという言葉にプレッシャーを感じている人にほど、本書を読んでもらいたい。
本書の要点
・リスキリングとは「将来にわたって能力をできるだけ発揮できるように、能力を高めていくこと」である。このためには雑多な情報や経験を整理し、一般化していくプロセスが必要になる。
・今後の日本が活力ある社会を作り出すためには、一人ひとりのやる気やモチベーションといった「インセンティブ」を高めていくことが必要になる。閉塞感の漂う環境では、将来への希望は持ちにくい。勉強法や働き方が多様化し、選択肢が広がることは、活力につながる重要なファクターである。
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