レビュー

古いレシートがずっとカバンに入っていて、なぜか捨てられない。
部屋にモノがあふれていて、どこから手を着けていいかわからない。


写真やアルバム、年賀状などがどうしても捨てられない。
これらは、本書で紹介されている「捨てられない」悩みだ。覚えのある人も多いだろうが、あなたは「捨てられない」理由を「片づけ方を知らないから」や「自分がだらしないから」だと思っていないだろうか。
だが本書によると、それは誤解だ。著者は冒頭で「いくらノウハウ本を読んでも、『捨てる脳』を持っていなければ、捨てられるようにはなりません」と書いている。
本書の著者、加藤俊徳氏は、脳番地トレーニング法などで知られる脳内科医だ。脳科学・MRI脳画像診断・ADHDの専門家であり、自身が立ち上げたクリニックでは、独自開発した脳画像診断法を用いて、脳を強化する健康医療を行っている。本書はそんな加藤氏が2019年に上梓し、7万部を突破した『片づけ脳』の姉妹版である。
加藤氏によると、もともと脳は「集める」性質を備えている。私たちが収集した情報をもとに意思決定するのも、さまざまな行動を経て、それにまつわる情報が集まってくるのも、脳の「集める」性質によるものだ。そんな脳にとって、「捨てる」のは簡単なことではないという。
本書では、そんな脳の性質を解説しつつ、「うまく捨てる」方法を教えてくれる。
これまで片づけ本を読んでもいっこうに行動に移せなかった人に、一読を勧めたい。

本書の要点

・もともと「集める」性質を持っている脳にとって、捨てることは簡単ではない。それでも、意識的に「集める脳」から「捨てる脳」にシフトしていかないと、脳は劣化の一途をたどってしまう。
・モノと記憶の関係は、「すぐに捨てられる」(直近記憶)、「期限を決めて考えて捨てられる」(ワーキングメモリ)、「時間をかけて捨てられる」(長期記憶)の3つに分類できる。
・古いレシートなど、本来は即座に「捨てる」判断ができるはずのモノを捨てられないなら、いつもより速く歩いたり、なるべく階段を使ったりして、運動系脳番地を刺激するとよい。



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