レビュー

「伝える力がある人は、望む結果を得ることができる」。本書のこの言葉が胸に刺さった。

たしかに、自分一人で実現できることは少なく、範囲も限定的なことが多い。何かを成し遂げるためには、人の協力を得たり、人を動かしたりするシーンが発生する。だからこそ、相手の共感を生む、相手に気づきを与える、相手の行動を変える……など、「伝える力」は望む結果を得るためのベーシックスキルといえる。そして、伝える力はいかに相手の目線に立てるかに左右されるのではないか――。そんな考えを後押ししてくれたのが本書だ。
著者の富川悠太氏は、テレビ朝日の報道番組『報道ステーション』のフィールドリポーターやキャスターを経て、現在はトヨタ自動車の専属ジャーナリストとして活躍している。もともとコミュニケーションが得意だと思いきや、昔は人見知りだったというから驚きだ。テレビ朝日入社後に就いたフィールドリポーターという「ザ・報道の仕事」に、当初は気乗りしなかったという。しかし、試行錯誤の結果、自分なりの解決策を発見していった。その「伝える力」を発揮するための聞き方、話し方、リサーチ、表現などの極意が、本書にちりばめられている。富川氏が大事にしてきた「リアルを伝える」ための工夫は、日常生活でも応用できるものが実に多い。
なぜ人は富川氏に心を開くのか。
その理由がありありとわかるだろう。「伝える力」を磨き、応援してくれる人を増やしたい方にぜひお読みいただきたい。

本書の要点

・「相手の視点に立つ」ことと「第三者的視点で自分を見る」ことで、本当に伝わりやすい表現ができているかどうかがわかる。
・相手の目線で、役に立てることを探しているうちに、相手は心の扉を開いてくれる。
・言葉の力を磨くには、良い言葉に向き合い、言葉のストックを増やすことが大事だ。
・相手を巻き込む必要があるときは、相手にも関係する「大きな目的」を伝えるとよい。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。

編集部おすすめ