レビュー
「つまづいたって いいじゃないか にんげんだもの」
これは、日本の詩人・書家である相田みつを氏の代表的な作品だ。
2017年にノーベル経済学賞を受賞し、行動経済学を専門とするリチャード・セイラ―教授は、氏の作品や考え方に共感しているという。
かつて経済学では、人は常に冷静沈着で、合理的に行動すると仮定していた。しかし実際そうでないことは、歴史を見れば明らかだ。ダメだとわかっていて突き進むこともあれば、個人の利益を度外視して、誰かのために身を粉にすることもある。人間とは不合理な行動を取る存在なのである。
本書はマーケティングのプロであり、長年にわたって行動経済学のビジネス活用を促進してきた著者が、身近な事例と世界最先端の研究を基に、わかりやすく行動経済学を教えてくれる。要約では本書に掲載される100の研究から、とくに印象的なものを抜粋してお届けする。
行動経済学に興味はあるが難しい理論から入りたくない方や、消費者心理を知ってビジネスに活かしたい方にぴったりの一冊だ。また、無意識に取ってしまう行動を認識することで、日々の生活でも賢い選択ができるようになるだろう。
本書の要点
・グーグルは「ナッジ(nudge)」に基づき、社員に健康的な食事を摂らせることに成功した。ナッジとは強制や命令に頼らず良い行動に導く手法で、様々な場面で活用されている。
・何かを手に入れると、それに価値を感じて手放したくなくなる。この心理を「保有効果」と呼ぶ。
・マリッジブルーになるのは、時間の経過とともに判断や評価が変わる「解釈レベル理論」のせいである。結婚前に感情が不安定になるのは「心が弱い」からではない。
・人がサブスクをやめられないのには、「現状維持バイアス」が関わっている。
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