レビュー

「投資にはリスクがともなう。だが投資しないことのリスクはそれ以上に大きい」。

金融ジャーナリストの著者は、こう強調する。例えばバカンスや大きな買い物、困っている人への支援――こうした行動を可能にする力を投資はもたらしてくれる。
現在は、1日に5ドルといった小口投資もしやすくなっている。20歳から退職時まで長期的に積み立てて運用すれば、複利の効果で100万ドル以上に膨らむ可能性がある。日本でも「貯蓄から投資へ」という動きが加速している。
では、投資で成功をおさめるにはどうすべきなのか。世界的ベストセラーとなった本書では、「株式市場には多くの虚構やウソがあふれている」という前提に立ち、お金の真実を明らかにしていく。ベースとなるのは、「どうして株式と債券でポートフォリオを組むのか?」「けっきょく資産を増やすには?」といった10の問いだ。
心に突き刺さるのは冒頭の警句である。「金融投資に関しては、多くの人が健康に配慮しているつもりでジャンクフードを食べるような行動をとる」。著者は、読者の投資にまつわる誤解を解きほぐしていく。本書の内容はタイトルでイメージするよりも「素朴」な内容だが、そうした地道な取り組みこそが大きな果実を得るための正攻法だとわかる。

すでに長期投資をしている方も、本書のベーシックながら効果的な投資法を、マネープランを見直す際の指針として活用してみてはいかがだろうか。

本書の要点

・プロの投資家だからといって、必ずしも投資に「勝ち続ける」ことはできない。巷にあふれる「必勝法」のほとんどは、市場のパフォーマンスを下回っている。
・投資に「近道」はなく、長期的に投資することが、リターンを最大化する。10年、20年単位で複利を味方につけることが、成功への道である。
・ニュースを熱心に追う投資家は多いが、これらの情報がかえって資産を減らす可能性が高いことに注意すべきである。



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