レビュー
プレゼンは業務の一環であるにもかかわらず、どこか「特別」な感じがする。なぜだろう?
それは、「舞台に似ているから」ではないだろうか。
では、プレゼンを「特別な場」ではなく、「いつもの場」にしてみたらどうだろうか――。そう提案するのが、本書の著者・岩下宏一氏である。
著者は元NTTの人事であり、かつ劇団四季で俳優を務めていたという異色の経歴の持ち主だ。四季退団後は人事コンサルを経て独立し、現在は企業や自治体、学校などでプレゼン指導を行っている。
著者が教えているのは、相手と対話しながら進める「対話するプレゼン」だ。「資料を完璧に仕上げて、本番では読むだけ」という独演型のプレゼンとは一線を画す、「相手と一緒に作りあげる」プレゼンである。そのため、折にふれて相手の反応を見たり、「ここまで大丈夫ですか?」と問いかけたりして、一緒にその場を作っていくことを重視する。そう考えると、いつものミーティングの延長として捉えられ、プレゼンに対するハードルが下がるのではないだろうか。
本書では「対話するプレゼン」のやり方を、順を追って解説していく。「緊張で頭が真っ白になってしまう」というプレゼン恐怖症の人にこそ、おすすめしたい一冊だ。
本書の要点
・「対話するプレゼン」とは、相手の「いまこの瞬間」の要望や疑問をすくい上げ、丁寧に答えていきながら進めるプレゼンだ。
・プレゼン前は、相手が話しやすい場の雰囲気を作ることが大切だ。
・「対話するプレゼン」では、資料を見てから前を向いて話す「半生話法」を基本とする。その際は、資料を見る時間が2割、相手を見る時間は8割が目安である。
・プレゼン中も積極的に相手に問いかけよう。「問いかけ」と「受けとめ」が、実り多いプレゼンのカギとなる。
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