レビュー
映画やドラマ、アニメ、ゲームなどのコンテンツにおいて、いまや絶対に外せない要素が「世界観」である。かつて「世界観」とは文字どおり「世界を見るひとつの観点」を指していたが、現在はそのストーリーにおける「世界設定」を意味するようになった。
「世界観の構築」に成功したコンテンツの1つが、映画シリーズ「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」である。MCUには『スパイダーマン』『アイアンマン』『アベンジャーズ』といった多くのヒット作品が存在するが、ある映画の主役キャラクターが別の映画に脇役として登場したり、また別の作品ではそれぞれの主人公たちが一堂に会したりと、各映画は独立しながらも、シリーズ全体で1つの世界観を構築している。
本書の著者は、韓国の制作会社でコンテンツの企画・開発を担うプロデューサーであり、長年にわたり映画やドラマ制作に携わってきた。時代の移り変わりとともに、近年急速に台頭してきた要素が「世界観」だという。
世界観についての歴史はまだ浅く、その研究も発展途上である。本書では、様々なコンテンツを例に挙げながら、人々の心を掴み、熱狂を生み出す「世界観」のつくり方について解説している。
現代のコンテンツ制作において、「世界観」の設定は最重要項目といっても過言ではない。クリエイターでなくとも、自分がなぜそのコンテンツに惹かれるのか、なぜつい見てしまうのかを紐解くことで、ビジネスにも通じるヒントが得られるはずだ。
本書の要点
・世界観とは、現実とは異なる要素でつくられた「架空の世界」、およびその世界を構築する「世界設定」である。
・世界観の構築には、「キャラクター」「時空間」「トーン&ムード」「設定」の4つの要素が必要だ。
・キャラクターは見る人が感情移入できる存在でなければならない。
・新しい世界の枠組みをつくる際は「もし~だったらどうだろう?」と仮定してみよう。
フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。