レビュー

「まじめな人ほど疲弊していく」——そんな現象が、あなたの職場にも起きてはいないだろうか。プロジェクトが進まない、メンバーが次々と離れていく。

その背景には、マネジメントの構造的な欠陥があるかもしれない。
本書の著者は、500件以上のプロジェクトのリードとサポートを実施してきた橋本将功氏だ。本書ではそんな著者が、プロジェクトの現場で起きている「人が壊れるマネジメント」を50パターン提示し、そのメカニズムを解き明かすとともに、適切なマネジメント例を紹介している。
とくに印象的だったのは「タスクを丸投げされて壊れる」のパートだ。指示が不明瞭だと、質の低いアウトプットが生まれ、担当者はネガティブなフィードバックを受ける。その結果、自信を失い、マネージャーへの不信感を抱き、言われたことだけをこなすようになり……と、人のやる気や創造性をじわじわ奪っていく様子がリアルに描かれている。
もう一つ、「非現実的な工数とスケジュールで壊れる」のパートも印象的だ。非現実的な工数とスケジュールでの進行をやむなくされるのも、多くの現場の「あるある」だろう。本書ではこの「あるある」の解決策も丁寧に語られる。
本書は、メンバーやプロジェクトをマネジメントする立場にある人にとって、試験の予想問題集のような役割を果たしてくれる。読み進めるうちに「どのポイントに注意しておけばいいか」「どこを直せば人も成果も守れるか」が見えてくるはずだ。

本書の要点

・プロジェクト現場において、最も頻繁に見られるマネジメントの失敗例のひとつが「タスクの丸投げ」である。

タスクを適切に引き渡し、効率的にプロジェクトを進めるためには、6W2Hを念頭に置いた指示を行うことと、相手に敬意を持つことが有効である。
・プロジェクトを円滑に進行させるためには、各メンバーの役割を明確に定義し、それを伝達することが極めて重要だ。プロジェクトが始まるときやタスクを依頼するときには、相手に「役割」「タスク」「評価」を明確に伝えたい。



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