レビュー

ミネルバ大学をご存じだろうか。2011年に開校し、キャンパスを持たず、学生は世界7都市を巡りながら学ぶ大学だ。

その斬新さが注目を集め、「入学はハーバード大学より難しい」とも言われている。
著者は、そのミネルバ大学の設立母体であるミネルバ社提供によるリーダーシップ開発プログラム「Managing Complexity」を日本企業向けに展開する。中心テーマとして掲げられるのが「適応型リーダーシップ」だ。これは、成果を出し続けるために、個々人が環境に適応しながら力を発揮するための変容プロセスを意味する。
「適応」という言葉はリーダーシップ論によく登場するが、組織の適応力を高めるために、リーダーは具体的に何をすればよいのか。本書は、この問いに体系的かつ実践的に答えようとしたプログラムのエッセンスを、できる限り忠実に再構成したものである。
構成は三部から成る。第一部では、適応型リーダーシップの基盤となる思考法を学ぶ。たとえば、システム思考、モチベーション理論、認知バイアス、パーパスを通じた自己理解などだ。第二部では、「対人姿勢を磨く」をテーマに、EQ、多様性、コミュニケーションを扱う。そして第三部では、課題解決とイノベーションを軸に、問題と課題の分析、デザイン思考、意思決定、学習の俊敏性へと話が展開されていく。
各章の冒頭と最後には問いが提示され、自分なりの答えをアウトプットする過程が重視されている。
それこそが、本質的な気づきと実践の扉を開いてくれる。本書を道しるべに、自分だけのラーニングジャーニーを築いていただければと思う。

本書の要点

・本書では、複雑なシステムをリードする思考法から、対人知性の磨き方、課題解決とイノベーションの方法まで、必要な要素をまとめている。ミネルバ大学が提供するリーダーシップ開発プログラムのエッセンスをできるだけ忠実に届けようとしている。
・​不確実な時代においては、適応型リーダーシップを磨くことが重要になる。​継続的な学習姿勢と自己変革能力が、リーダーシップを発揮する上での基盤となる。



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