レビュー
「なぜ気持ちをわかってくれないんだろう?」「なんであんな言い方するんだろう?」
人とのコミュニケーションにおいて、そう感じたことは一度や二度ではないはずだ。真摯に話しているつもりなのに、なぜか私たちの会話はすれ違う。
その答えは「脳」にある。人間の脳の回路は「タテ型」と「ヨコ型」の2種類あり、コミュニケーションにおいても特性が異なる。タテ型回路は「脳の縦方向の信号を使う」回路であり、単刀直入で「問題解決」を目的とした会話が得意だ。一方のヨコ型回路は、気持ちやプロセスを重んじ、相手に共感を求めながら対話を進める。これを聞いただけで「自分はこっちのタイプだ」と思い当たるのではないだろうか?
人間は本来どちらの回路も使えるのだが、優先させる回路をあらかじめ決めているそうだ。著者によると、多くの場合、男性はタテ型・女性はヨコ型であり、立場や関係性によっても変わってくるという。
本書は『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』など、「トリセツシリーズ」が人気の黒川伊保子氏による一冊だ。「よかれ」と思って取っている言動も、脳の回路が違うとすれ違ってしまう。本書はそんな「悲しくもありふれた日常」を解きほぐし、一筋の光を差してくれる。
相手との対話に絶望する前に、ぜひ本書を開いてほしい。「なーんだ、そんなことだったのか!」と肩の力が抜けること請け合いだ。
本書の要点
・人間の脳の回路には「タテ型回路」と「ヨコ型回路」がある。タテ型回路は空間認知を得意とし、圧倒的な危機管理能力を持つ。一方のヨコ型回路は、身近な変化を見落とさない「気づきの回路」で、危機回避力が高い。2つの回路を同時に使うことはできない。
・コミュニケーションにおいて、タテ型は「問題解決型」でヨコ型は「共感型」だ。両者の会話がすれ違うのは、対話特性が異なるためである。
・異なる対話特性を乗り越える奥義は、「相手の話を、共感で受ける」「自分の話は、結論から始める」の2つである。
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