レビュー

ダラダラと長い話をする人は、たいてい自分の自慢話、テッパン(だと思い込んでいる)話ばかりをしてしまう。会話のあとに「なんか気持ちのいい時間だったな」と感じさせる人は、その人の話術以上に、きちんと対話になっていたことがカギだったりする。


人の印象は「何を話したか」あるいは「何を話さなかったか」、そして「人の話を真剣に聞いたか」で決まる、ということだ。それなら、話したいように話し、相手が話すままを聞けばいいと考えるかもしれないが、そうして「ありのままに『伝え』『聞く』ことは、実は人生の多くの場面で通用しない」という。
よかれと思って言ったことが伝わらない。感情を抑えて黙っていたら、酷い対応がエスカレートしてしまう。そんなことは日常茶飯事だろう。
ビジネスパーソンは伝えることと聞くことに、ますます多くの時間を割いている。しかし、情報が氾濫し、ChatGPTですぐ答えらしきものを得られる現代、コミュニケーションにも効率が求められ、集中できる時間は短くなっている。これまでのスタイルでは、話を「聞いてもらいにくくなっている」ということだ。
テレビ東京やYouTubeといったメディアで「伝える」ということの極みに立つように見える著者も、迷いのなかでその技術を磨いていったのだということがよくわかる。本書が示す本質を実践によって会得すれば、誰もが伝えられる人になれることは間違いない。

本書の要点

・「本当に伝わる話し方をする人は、自分ではなく『聞き手を満足させること』を最優先に」する。
・相手に伝えるためのファーストステップは、シンプルに「『相手が聞きたいこと』を話すこと」だ。


・人間は一度にたくさんのことを理解可能なようにはできていない。「話す内容を減らす、つまり『引き算』すること」が大切だ。
・何かを伝えるには、聞き手に最後まで話を聞いてもらうための技術だけでなく、「感情」が重要な原動力になる。
・「伝える力」のためには、大事な情報を引き出し、信頼関係を築いて人を動かすための「聞く力」も必要となる。



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