文 小川由紀子
『月刊フットボリスタ第73号』で特集した若手市場。そこで暗躍するリクルーターに求められる重要な能力の一つは、ポテンシャルのある選手をまだ誰も手をつけていないうちに獲得し、ブレイクさせたのちに高く手放すこと。
2016年10月、新オーナーに着任したジェラール・ロペスに請われてリールの新プロジェクトに参画。この夏8000万ユーロというクラブ最高額でアーセナルに移籍したニコラ・ぺぺは、2年前カンポスがアンジェから1000万ユーロで獲得した選手だ。同じ夏にサンパウロから900万ユーロで呼び寄せたMFチアゴ・メンデスも、今夏リヨンに2200万ユーロで巣立った。
ロペスとカンポスがタッグを組んだ実質的な初年度の2017-18シーズンは、マルセロ・ビエルサ監督のゴタゴタもあり、最終節で残留を決める綱渡り状態だった。おまけに財政問題を抱え、冬のメルカートでは補強禁止、2018年夏の支出もリーグの財政管理委員会の厳しい監視下に置かれた。
その条件の中、カンポスはなるべくフリーで獲得可能な優秀な人材を集めた。それが昨季大活躍したDFジョゼ・フォンテ、MFジョナタン・バンバ、今夏ミランに移籍した20歳のFWラファエル・レオンらだ。またぺぺ、バンバと超攻撃的な“BIP”トリオを形成したジョナタン・イコネも、パリSGから500万ユーロで獲得。補強費をわずか890万ユーロに抑えて、17位から準優勝という大復活劇を遂げた。
もちろんチームを率いたクリストフ・ガルティエの手腕も大きいが、監督の目指すチーム作りを察知して適材を連れてくるカンポスの慧眼は実に見事であり、彼はそれをレアル・マドリーでモウリーニョの片腕を務めた時代(2012-13)に学んだという。
モナコでは3000万ユーロを2億ユーロに
レアル・マドリーの後は、リールに来る2016年夏までモナコのテクニカルディレクターを務めた。
しかも前述のペペなども含め、全員がステップアップと呼べる移籍を実現しているのも重要な点だ。カンポスは選手をより成長できる環境に引っ張り、活躍させ、価値を上げて羽ばたかせる。結果、クラブは好成績と金銭面での恩恵を受ける。まさに理想的なWin-Win だ。ここ最近のモナコの低迷は、カンポス離脱後のリクルートのまずさにある気がしてならない。対照的に、ポルトガル人MFレナト・サンシェスもバイエルンから獲得したリールは、今季も上位を狙える存在になりそうだ。
Photo: Getty Images

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