2014年と2015年にオンエアされて好視聴率を記録した『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)の新シリーズが4月期の連続ドラマに戻ってくる。といっても、ヒロインが杏(37)から今田美桜(27)にチェンジするから、これまでのイメージも大幅に変わるはずだ。


 池井戸潤氏原作のこのドラマは、怖いものなしの花咲舞が銀行内の悪事にぶつかり闘う痛快エンタテインメントで、杏の当たり役とも言われていた。新シリーズについて、SNSを覗くと《美桜ちゃんバージョンの花咲舞、凄く楽しみ!》《美桜ちゃんが豪快に爽快に、理不尽な慣習を打ち破るのを待ってます》といった声が出ており、期待値の高さが伺える。


 2日に行われた制作発表会見で、今田は杏からのバトンタッチについて「正直プレッシャーはありますが、新しい花咲舞を作れたら…」と答えていたが、やはり良し悪しを較べられるのは覚悟の上なのだろう。


■オリジナルドラマを制作する知恵も資金もないテレビ局


 ヒロインを演じた昨年3月公開『わたしの幸せな結婚』(東宝)の興行収入が28億円を超える大ヒットになっているが、今田はテレビドラマに関してはこれまで数字(視聴率)に恵まれていない。今回の『花咲舞~』で高視聴率を叩き出し、しっかりとした実績を作った上で2025年前期の朝の連続テレビ小説『あんぱん』に突入できるのか、テレビ関係者は注目している。


 ただ、キャストを変えたドラマの新シリーズやリメーク版で成功するのは難しい。

かなりハードルが高いのが現実だ。


「例えば『梨泰院クラス』『知ってるワイフ』『グッド・ドクター』といった韓国ドラマのリメイクでオリジナルを超えた作品は残念ながらありません。やはり根底にある文化の違いでしょうか、韓国では大ヒットしても日本ではなかなか難しいのが現状です」(テレビ関係者)


 オリジナルを超えられないことが半ば常識として分かっていながら、テレビ局はなぜ過去の大ヒットドラマの制作に触手を伸ばすのだろう。


「テレビ離れ、ドラマ離れが要因のひとつでもありますが、オリジナルドラマを制作する知恵も資金も乏しい現状だからでしょう。過去のヒット作は爆発的にヒットはしませんが固定ファンが付いている。大ゴケまではしないだろうという安心感があるわけです」(前出・テレビ関係者)


 それでは、《やっぱり杏ちゃんの方が…》と言われるかもしれないリスクを冒してまで、今田が『花咲舞~』に挑む理由は何なのか?


「女優としての振り幅を拡げたいのが狙いでしょうね。

過去には故・竹内結子さんの当たり役と言われた『ストロベリーナイト』から7年後に再構築された『ストロベリーナイト・サーガ』に、同役で二階堂ふみ(29)が出演し、数字的には失敗でしたが二階堂本人への酷評にはなりませんでした。また『ガリレオ』シリーズでは第1シーズンの柴咲コウ(42)から第2シーズンでは吉高由里子(35)にヒロインが変わり、当初は不満の声も聞かれましたが、今や吉高は大河ドラマの主演ですからね…」(芸能プロダクション関係者)


 さて、今田版『花咲舞』はどんな評価が視聴者から下されるのだろうか。


(芋澤貞雄/芸能ジャーナリスト)