【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】
この3月末から4月初めにかけ、かなり多くの俳優たちが、それまで所属していた事務所をやめて独立または移籍したことを発表した。
長塚圭史(48)と田中哲司(58)は共に「鈍牛倶楽部」を退所。
一方、吉木りさ(36)と壇蜜(43)は所属事務所「フィット」が破産したため、マネジャーと共に他の事務所へ移籍したり、独立している。また吉岡里帆(31)は業務停止の「エー・チーム」から他の事務所に移った。
いま名前が挙がった事務所ではないが、ある芸能プロの社長に話を聞いてみた。
「まあ、2億円の売り上げが消えるということですね。多部未華子さんについて言えば……」
中堅女優の彼女クラスなら映画やドラマ、CMの仕事を考えれば、それくらいは見込めるというわけだ。
「昔はタレントが独立するとトラブルになったり、“干される”といったことが多々ありましたが、今の時代は無理。むしろ、『やめる』と言われないようこちらからコミュニケーションを取らなくてはダメです」
歌手やアイドルグループの場合はコンサートツアーなどを開催する。そのステージを一から制作する苦労を考えると、事務所にいた方が「都合がいい」のだが、俳優の場合は違う。ある程度のネームバリューがあれば、そして俳優としての実力があれば、事務所の力はあまり必要ないといえるそうだ。
「有名俳優のマネジャーが、今さらその俳優のプロフィルを持って営業をかけるなんてあり得ないでしょ」
その上、独立は俳優とテレビ局、制作会社の関係でウィンウィン。三方一両損ならぬ一両得の面があるという。
例えば、仮にドラマ1本当たり100万円のギャラの場合、その3割から5割が事務所の取り分となる。関係者はみんな知っていて、俳優が独立したら「70万円でどうですか?」とオファーできるそうだ。俳優の中にはギャラが増える人もいるし、制作側は今までよりコストが安く抑えられる。
考えてみれば、里見浩太朗(87)や白竜(71)もずいぶん前から個人事務所でも順調に仕事をされている。コストカットの流れが続く限り、この先も独立する俳優は増えそうだ。
(城下尊之/芸能ジャーナリスト)