NHK朝ドラ「虎に翼」がスタートから1カ月、評判は上々だ。


 弁護士を目指すヒロインが同じ志をもつ仲間たちと法曹界に飛び込む姿を描くオリジナルドラマで、日本初の女性弁護士となる三淵嘉子がモデルの主人公、猪爪寅子を伊藤沙莉が演じている。


 この「虎に翼」に加えて、今期はなぜか法廷そのものを舞台にしたドラマが3本もある。石原さとみ主演の「Destiny」(テレビ朝日系)、幸澤沙良主演「JKと六法全書」(同)、長谷川博己主演「アンチヒーロー」(TBS系)というように。


 朝ドラの主人公が弁護士というのは事前にわかっていたこと。にもかかわらず、同時期に法廷ドラマをぶつけたのは何か意図があるのか。


「もともと法廷ドラマは海外でも人気のコンテンツです。一口に法廷ドラマといっても内容はさまざまで実話に基づいた事件や社会問題を反映した社会派ドラマだったり、弁護士側、検事側を描いたお仕事ドラマだったり、いかようにも描けます。

弁護士VS検事など敵対関係がわかりやすい。恋愛ドラマには興味がなくなった中高年世代でも、法廷ドラマで扱う痴情のもつれなどは楽しく見るといわれています。ミステリー要素も加わればさらに楽しめます」(ドラマウオッチャー)


 つまり法廷ドラマはオールマイティーなジャンルということだろう。


 ただ、ジャンルがかぶるのは仕方ないが、ここまでかぶると視聴者はどこの法廷なのか混乱してしまう。結果的にテレビ離れが加速することにならないか。


 いっそのこと、各局がそれぞれ放送するよりは、例えば、石原さとみの検事と長谷川博己の弁護士が法廷で闘うなど、ライバル局のドラマを合体させるとか、コラボするとか、目先をガラッと変えてはどうか。


 そうでもしないと配信系のドラマのような重厚なものは永遠に制作できない。キー局、テレビ局が多すぎるともいえる。似たり寄ったりで、淘汰される日は近いかもしれない。