【ラサール石井 東憤西笑】#257
今年もこの季節がやって来た。6月は熱海五郎一座の月。
今回は羽田美智子さん、剛力彩芽さんをゲストに迎えた「黄昏のリストランテ~復讐はラストオーダーのあとで~」が6月2日から始まっている。
さすがにこれだけやってきたら設定も出尽くして、今回は料理の世界を描くことになった。ホールのセットとキッチンのセットを回り舞台の表と裏にしつらえ、グルグル回して役者が行き来する。タイミングが命の喜劇だ。
羽田美智子さんは、もうこんなにいい人が世の中にいるのか、というぐらいステキで可愛い方で、純粋過ぎてその天然ボケ具合がもうたまらなくおかしい。
裏になったキッチンのセットを見て「せっかくのセットなのに、お客さまには見えないわねえ」と真面目に言ったり(いや、だから回り舞台なんだけど)、顔合わせの挨拶で「早く皆さんと一味になりたい」と言って三宅さんに「それだと悪者ですよ」とつっこまれたり、今日なんかカーテンコールでドレスを着て颯爽と登場し、お辞儀をしたら前につんのめりそうになったり、いやあ、ほんと面白い。
剛力彩芽さんは、もうその身体能力の高さでアクションからダンスまでキレッキレで、渡辺リーダーとコンビで、女優にあるまじきコミカルな動きも見せて大活躍だ。
まだ始まって何日だが、この時期は芝居がどんどん変わる。ウケがいまいちなら、座長で演出の三宅裕司さんが、すぐにセリフや動きを修正する。3時間の芝居を自らもやった後に、その動画を家に帰ってからまた3時間見て、翌日には変更が伝えられるのだ。こうして日々ブラッシュアップされて芝居がどんどん面白くなっていく。場面が全て変わってしまうこともある。10日ほどして、変更がなくなったら、三宅さんの「よし、出来た」の声がかかる。大袈裟ではなく、初日と千秋楽ではかなり芝居が違う。
今回私は全ての場に出ていて、今までで一番忙しい。1幕と2幕の間の休憩以外、楽屋には帰れない。それでも全員の役者と絡み、セリフも大量で頑張っている。存在自体は地味だが、みんなをまとめる扇の要のような役だ。
こないだは、ちょっとセリフが真っ白になり、大声でキレて、思い出すまでごまかしたり、昇太さんなんか、明かりがついたら、いなきゃいけないのにいなかったり。ハプニングもまた楽しいですね。
ぜひ、ご覧ください。27日(金)まで。
(ラサール石井/タレント)