今国会で3回目の党首討論が11日行われた。スタートは異例の午後6時。

テレビやラジオ、ネット中継を視聴しやすい時間帯にずらし、関心を高めようということだったが、正直、見たくなるような面白いコンテンツには程遠かった。


 トップバッターの立憲民主党・野田佳彦代表は政府の物価高対策を批判。「遅すぎるし、感度が悪い」と切り捨てたうえで、ガソリン税の暫定税率廃止、企業・団体献金廃止、選択的夫婦別姓が進まない現状も挙げ、「すべて課題は先送りか無策。これが石破政権の特徴ではないか」と断じた。


 これに対し、石破茂首相は野田氏が求めた食料品の消費税率ゼロについて「社会保障財源はどうするのか」と反論。ただ、物価高に無策は事実なので、「2000円のコメが店頭に並んだ」と備蓄米の随意契約をアピールするしかなかった。


 国民民主党の玉木雄一郎代表との討論では、石破首相の論点すり替えが目立った。与党が参院選の公約に掲げようとしている現金給付について「上振れた税収は自民党のものではない。バラマキだ」と批判されると、「侮辱はやめてほしい」と声を荒らげる場面も。ま、図星だから説明できないのだろう。


■「か」の字も「ふ」の字も出ず


 通常国会は22日が会期末。今回が最後の党首討論で、閉会後はすぐに参院選が控える。

本来なら、与野党激突でバチバチと火花が散ってもよさそうなものなのに、解散の「か」の字も、内閣不信任決議案の「ふ」の字も出ず、石破が追い込まれている感はあったものの全体として迫力に欠け、ドッチラケだった。


 元経産官僚の古賀茂明氏はこう言った。


「石破首相の態度に野党3党首との人間関係が見えました。前原さん(前原誠司氏=日本維新の会共同代表)には親しみを持った話し方の一方、玉木さんには厳しい口ぶりで、よほど嫌いなのでしょう。野田さんとはお互いリスペクトし合っている。討論が迫力に欠けたのは、野田さんが本気で政権交代しようと思っていないからです。与党が過半数割れしている状況で、内閣不信任案を出すのかどうかというタイミングに、『石破政権は物価高は無策、裏金問題も先送り、選択的夫婦別姓もやれない』と全否定しながら『俺たちが政権を取るぞ』と迫れないのですからね」


「国民に信を問うべきだ」と主張できない野党第1党党首じゃ、有権者は付いてこない。


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