米国は参戦するのか──。イスラエルがイランを不意打ち攻撃してから、18日で6日目を迎えた。

イランとの応酬が続く中、イスラエルの呼びかけに応じて米国が“参戦”をにおわせ始め、中東情勢の先行きはいよいよ不透明になってきた。


 イスラエルは18日未明、イランの首都テヘラン南西部を空爆。イランもイスラエルに向けて極超音速ミサイルを発射した。


 一連の応酬は、トランプ米大統領が自身のSNSでイランに対して「警告」を発してからわずか数時間後のこと。トランプはイランの最高指導者ハメネイ師に関し、名指しは避けつつ〈少なくとも今は殺害しない〉〈我慢の限界に近い〉と脅し文句を並べながら、イランに〈無条件降伏〉を要求していた。


 イスラエルのネタニヤフ首相はハメネイ師の暗殺について「紛争を激化させるのではなく、終結させるものだ」と言ってはばからない。イランの体制転換が最終目標とされるが、目下の攻撃対象はイラン中部フォルドゥの地下80~90メートルにある核施設。イスラエルのハネグビ国家安全保障顧問は「核施設に損害を与えずに軍事作戦が終わることはない」と鼻息荒い。


 イスラエルの頼りは、もちろんトランプ大統領だ。地中深くにある核施設を破壊するためには、米軍の最新型バンカーバスター「GBU57」が有効だという。それを期待して、イスラエルは米国に参戦を要請したとみられる。


 イスラエルの攻撃への関与を否定し、これまで紛争とは一定の距離を取ってきたトランプ大統領だが、17日にはホワイトハウスで国家安全保障会議(NSC)を開催。

バンス副大統領やルビオ国務長官、ウィトコフ中東担当特使らが出席し、イランへの外交・軍事的対応を協議した。同日、米国務省が在イスラエル大使館を3日間閉館すると発表したことも、「いよいよ軍事介入か」と臆測を呼んでいる。


 日本時間19日午前にはイラン攻撃計画を非公式に承認し、最終命令発出は保留中ともした報じられた。



「日本には原油自体が入ってこない可能性がある」

 対するイランは中東諸国を通じて停戦を模索していると報じられたものの、徹底抗戦の構えを崩していない。米ニューヨーク・タイムズ(17日電子版)によると、米国による攻撃があった場合に備え、中東地域の米軍基地に報復する準備を整えているという。


 米国が実際にバンカーバスターをイランの核施設に撃ち込んだら、報復合戦はエスカレーション必至だ。果たして、米国は参戦するのか。仮想通貨による賭けが行える予測プラットフォーム「ポリマーケット」では、6割以上が「7月までに米軍がイランに軍事介入する」と予測している。もし、このまま中東紛争が激化したら世界経済が壊滅的なダメージを受けるのは確実だ。経済評論家の斎藤満氏が言う。


■イランの最終手段とは?


「イスラエルへ加担するトランプ氏に、米国内の支持者も反発しています。したがって米国がためらいなく軍事介入するとは考えにくいですが、あのトランプ氏のことですから無謀な策に打って出るリスクも否めません。

そうなると最悪の場合、イランがホルムズ海峡封鎖の最終手段に出ることもあり得る。エネルギー価格は上昇し、日本のインフレはさらに加速するでしょう。原油の大半を中東に依存する日本には、原油自体が入ってこない可能性すらあります」


 石破政権はトランプ大統領に自制を促すことすらせず、ただ指をくわえて見ているだけなのか。


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