〈給付2万ではなんの足しにもならない〉〈消費税下げろよ〉──。石破首相が夏の参院選に向け、自民党に公約へ盛りこむよう指示した「現金給付」を巡り、SNS上は案の定、大荒れだ。

自公は国民1人あたり2万円に加え、子どもと住民税非課税の低所得世帯の大人には1人2万円を上乗せする案を検討中。立憲民主党の野田代表は「選挙前にニンジンをぶら下げる動きだ」と批判したが、ニンジンですらない。


 1人2万~4万円の根拠に関し、林官房長官は16日の会見で「家計調査をもとにすると、年間の食費にかかる消費税負担額が1人2万円程度、マクロの消費税収をもとにすると1人4万円程度とされていることを念頭に置いている」と説明。それっぽい理屈を並べちゃいるが、食品値上げが相次いでいるのに1食あたり約230~460円で済むと本気で思っているのか。


 世論調査でもハッキリ、給付への反発が表れている。共同通信の最新の世論調査(14、15日実施)によると、給付賛成は41.2%、反対が54.9%。同期間に行われたFNN調査でも、給付を「評価しない」との回答が「あまり」と「まったく」を合わせて約65%に上り、反対寄りの態度が過半数を占めた。


■自治体も反発


 現金給付を巡っては、政府・与党が4月、トランプ関税や物価高対策として1人3万~5万円程度を検討したが、バラマキ批判や財源確保が立ちはだかり、断念した経緯がある。共同通信の4月の世論調査を見ると、当時は給付に賛成が37.5%、反対が55.3%。FNNの5月調査では「現金を給付しなくてよい」との回答が45.2%だった。


 もっとも、内閣支持率は持ち直しつつある。共同の最新調査では前回5月より5.3ポイント増の37.0%、不支持率が前回より4.2ポイント減の48.4%。

しかし、現金給付に対する反対は、政府が検討して断念した4月や5月の世論調査に比べ、まったく改善していないのが実情だ。


 給付作業を担う自治体からは不満の声が噴出している。千葉県の熊谷俊人知事は自身のXに〈なぜもっと合理的・効率的な仕組みを普段から作らないのか〉、兵庫県芦屋市の高島崚輔市長も〈地方自治体は、国の下請けなんでしょうか〉などと疑問を投げかけた。


 悪評ふんぷんの給付では、やらない方がマシだ。まさかの再断念もあるか。


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「食費=月2万円」机上の空論でしかなく国民が怒るのは当然だ。●関連記事【もっと読む】『「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”』で詳しく報じている。


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