もはや、イチャモンだ。小泉進次郎農相は参院選公示日の3日、自身のXを更新。

立憲民主党の野田佳彦代表が第一声で「もっと農業人口が増えるようにするための予算を10倍にしたい」と語ったという記事を引用し、こう投稿した。


<農林水産予算を10倍??? 23兆円にするってことですよね…。やっぱり野党は無責任>


 進次郎氏が誤読しているのではないかとおぼしき内容で、SNS上では<「農業人口増の予算を10倍」で農業予算全体を10倍とは言ってない><読解力がないのか>などの指摘が相次いだ。本人もバツが悪かったのか、4日は野田氏の「農林水産予算が少なすぎる」との発言を取り上げ、民主党政権時より予算を<増やしてる>と反論するなど、文句タラタラだ。


 最近の進次郎氏のXでは他にも、どこかムキになっているような投稿が目立つ。先月29日には、JA福井県の宮田幸一会長が進次郎の政策に「コメ生産者は不安がっている」と苦言を呈している記事を引用し、<宮田会長、直接お話しませんか?>と投稿。さらに、JA新潟やJA秋田中央会の会長が進次郎を批判したという記事についても<直接お話しましょう。お会いするのを楽しみにしています>などと次々に晒し上げ、大炎上。立憲の小沢一郎衆院議員の事務所が運営するXも<権力者によるあからさまな脅しではないか?>と非難した。


■参院選でもマイナスの影響か


 こうした言動の背景には、どうも進次郎氏の影響力低下がありそうだ。


 先月の都議選で進次郎氏は、9選挙区10人の候補者の個人演説会に駆け付けた。しかし、結果は「3勝7敗」と負け越したうえ、自民党は過去最低議席となるなど散々な結果だった。


「随意契約での備蓄米放出が始まった当初は自民党内でも『物凄い追い風だ』などともっぱらで、まさに進次郎サマサマだった。しかし、最近では『もはや進次郎効果はなさそうだ』などと、冷めた声の方が聞かれるようになりましたね」(官邸事情通)


 連日因縁をつけているのも、焦りの裏返しということか。もともとコメ生産現場では、進次郎氏が次々に実行した農政の方針転換に否定的な意見が聞かれる。


「生産者が『従来の安い米価ではやっていけない』と発信してきたのに、強引なやり方で米価を下落させる手段を取ってきた。進次郎さんのやっていることは農家の意欲をそいでおり、結果的に安定的なコメ生産が遠ざかりかねない。消費者だってバカじゃないですから、メチャクチャなやり方が見透かされてきているということでしょう」(コメ流通関係者)


 今回の参院選をめぐっては、これまで自民党の大票田だったJAなどの農業関係者も進次郎氏には怒り心頭で、「集票が望めなくなった地域もある」(野党関係者)という。“進次郎コメ劇場”は与党過半数維持に貢献するどころか、マイナスに作用するかもしれない。


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 ムキになればなるほど、マイナスに作用しているとしか思えない進次郎農相の強引なやり方は、コメ農家の実情を理解していないから。関連記事【もっと読む】輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れは必読だ。


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