参院選(20日投開票)で全国屈指の激戦が繰り広げられる兵庫選挙区(改選数3)で異変が起きている。13人が乱立する中、頭一つ抜け出す前明石市長で無所属の泉房穂候補がステルス戦を強いられているのだ。

原因はNHK党の立花孝志候補らによる執拗な嫌がらせ。街頭演説での泉攻撃では飽き足らず、つけ回している。


 泉氏は第一声を南西部の男鹿島で上げ、いわゆる川上戦術を展開。SNSで街頭演説の告知はしないものの、県政記者クラブなどには事前通知し、取材対応していた。それが一変したのは選挙戦2日目の4日だった。


「立花陣営が『泉房穂を探せ』と称して街宣する泉を追いかけ回しているんです。NHK党の斉藤健一郎参院議員(非改選)が別動隊として動いていて、SNSで情報提供を呼びかけている。不測の事態が生じるのを避けるため、当面は一切の事前通知を控えます」(泉陣営関係者)


 立花氏らの目的は「逆コバンザメ街宣」だ。昨年11月に実施された斎藤元彦県知事の出直し選挙を「2馬力」で支援した逆張りで、泉氏の街宣を邪魔し、マイクを使ってあることないことわめき散らそうというのである。泉氏を敵視する主な理由は斎藤知事に批判的だから。立花氏は参院選のポスターに〈斎藤元彦知事を応援しています!!〉〈だって斎藤知事って何も悪くないじゃん!〉と大書きするほどのめり込んでいる。



裏金議員の自民・加田裕之候補は完全スルー

 立花氏の矛先は他陣営には向かっていないようだが、警戒感は着実に広がっている。


「言論の自由、選挙の自由を妨害するわけだから、我々も対応を話し合っておかないと。あんまりにもひどくて法的に問題があれば、県警に伝えないといけない」(自民党県連幹部)


 もっとも、立花氏は本当の権力者に噛みつくような真似はしない。再選を目指す旧安倍派の加田裕之候補は648万円の裏金をつくっていたことが判明。支援者との間で高額な金銭トラブルを抱えているとも報じられた。立花氏は連日、各所で熱弁をふるっているにもかかわらず、加田氏問題はスルーだ。


 選挙戦は残り13日。泉氏が露出を避けざるを得ない事態が続けば、勢いをそがれるばかりでなく、公正中立を意識する大手メディアが兵庫の選挙報道を控える可能性もある。


 そうなれば、組織票に支えられる自公与党は高笑いだ。


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 参院選(20日投開票)で、石破首相が「第一声」の場に選んだのは神戸市だった。しかし本人は知ってか知らずか、この選択により、相当なリスクを背負ったようで……。●関連記事【もっと読む】『石破首相が参院選「第一声」で危険な賭け…激戦区・兵庫での自公両候補応援に潜むリスク』で詳報している。


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