いよいよ世も末だ。


 排外主義的なキャッチコピー「日本人ファースト」で参院選に挑んだ参政党が躍進した。

日本維新の会から三行半を突きつけられ、行き場を探していた現職の梅村みずほ議員が公示直前に入党。改選数1からのスタートで、当初の目標だった6議席をクリアし、計14議席を獲得した。もっとも終盤に上方修正した20議席には届かなかった。


 参政は全45選挙区に1人ずつ候補者を立て、比例代表を含む計55人を擁立。重点区に位置付けた9選挙区のうち、6選挙区で勝ち抜いた。3年前に比例代表で立って初当選した神谷宗幣代表は参院で一人ぼっちだったが、勢力は1ダース超に急拡大。そのうち大半が女性だから、「神谷ガールズ」の献身的な活動に支えられているといっていい。


 象徴的存在が東京選挙区で2位当選したさや氏だ。


 東京・芝公園でのマイク納めでは「みなさんのお母さんにしてくださーい」と絶叫。かくして爆誕した「さやお母さん」は、NHKの選挙特番で「参政党の議員が10名以上誕生すれば、スパイ防止法案などもしっかりと考えて、練って、提出していきたい」と堂々言ってのけた。「みんなのお母さん」は今後、「敵」の洗い出しに精を出すのか。


 一方で、その選挙運動も疑問符だらけだった。


 選挙戦中盤、歌舞伎町のホストクラブがX(旧ツイッター)で、〈投票済証明書を提示すれば初回無料引換券をプレゼント〉と宣伝。記載例としてさや氏の名前が書かれていた。それにさや氏が〈感謝でいっぱいです!!〉とリプライしたことが、公選法違反の疑いをもたれている。ロシアのプロパガンダメディアとして知られる「スプートニク」のインタビューに応じたことも物議を醸した。


 比例代表候補者の街宣車に乗ったウグイス嬢がカウンターに対し、「ニッポンが嫌ならばニッポンから出ていけばいいじゃないですか。ここはニッポンでございます」と叫んだ問題もあった。


 参政の面々は良識の府のメンバーにふさわしいのか。それは、今後も問われることだ。


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